2007 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス氏島と脂肪組織の微小循環調節に関する研究
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18590993
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩瀬 正典 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 准教授 (00203381)
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Keywords | 膵ランゲルハンス氏島 / 糖尿病 / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 / インスリン / ラット / マイクロスフェア / 糖尿病細小血管障害 / 高血圧 |
Research Abstract |
糖尿病、肥満、高血圧ではラ氏島血流量が変化していることが報告されている。アンジオテンシンII受容体はラ氏島に発現していることが知られているが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)がラ氏島血流量に及ぼす影響は報告されていない。今回、我々はARBをラットに急性および慢性に投与し、ラ氏島血流量の変化を検討した。 方法 SDラットのラ氏島血流量を麻酔下でカラーマイクロスフェア法にて測定した。急性効果はオルメサルタン(0.1mg/kg)静注前と10分後にラ氏島血流量を測定した。さらに、オルメサルタン静注5分後にグルコース(0.5g/kg)静注前と3分後にラ氏島血流量を測定した。慢性効果はオルメサルタン5mg/kg/日またはカンデサルタン8mg/kg/日を飲料水に溶解し、5週齢から4週間経口投与し、グルコース投与前と3分後のラ氏島血流量を測定した。 結果1 急性効果 オルメサルタンを静注すると、血圧が107±6mmHgより72±6mmHgと低下したが、血糖、IRI、ラ氏島血流量、膵血流量に変化を認めなかった。しかし、グルコース投与によるラ氏島血流量の増加は対照群に比べ(5.6±0.6→10.4±1.0μl/min/mg)、オルメサルタン群ではその増加が有意に抑制された(5.1±0.7→6.4±0.6μl/min/mg、p<0.01)。グルコース投与後の膵血流量もオルメサルタン群で有意に低下した(2.1±0.2 vs 1.1±0.1ml/min/g、p<0.01)。 結果2 慢性効果 血圧はオルメサルタン、カンデサルタン投与により有意に低下した(対照群109±4mmHg、オルメサルタン93±3mmHg、p<0.01、カンデサルタン78±3mmHg p<0.001)。血糖、IRIには有意差を認めなかったが、ラ氏島血流量はグルコース投与前は3群間で有意差を認めなかったが(対照群8.8±1.0オルメサルタン5.8±0.6カンデサルタン7.1±1.μl/min/mg、ns)、グルコース投与後はARB投与群で有意に低値であった(対照群15.9±1.4オルメサルタン9.4±1.1 p<0.01、カンデサルタン10.2±1.8μl/min/mg p<0.05)。膵血流量には各群間に有意差を認めなかった。 結論 糖尿病モデルではラ氏島毛細血管圧の上昇と組織学的障害が報告されており、ラ氏島血行動態の異常がラ氏島機能障害に関係することが推測されている。ARBの糖尿病発症抑制効果はラ氏島微小循環への影響を介する可能性がある。
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