2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病における血管リモデリングへのmtROSの関与とその制御による動脈硬化の抑制
Project/Area Number |
18590995
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西川 武志 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (70336212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 健朗 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50336244)
松村 剛 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (20398192)
本島 寛之 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (40398201)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病合併症 / 活性酸素 / ミトコンドリア / eNOS / PPARγアゴニスト |
Research Abstract |
申請者らは糖尿病血管合併症発症機序として「高グルコースによるミトコンドリア由来活性酸素(mtROS)過剰産生」の意義を提唱しているが、本年度は糖尿病性大血管障害発症とmtROS産生過剰の関与、また糖尿病患者での動脈硬化症発症抑制作用が報告されたPPARγアゴニストとmtROSの関連を検討することを目的として、以下の(1)〜(5)を行った。 (1)TNF-αおよび高グルコースによるmtROS産生効果:ヒト膀帯静脈内皮細胞(HUVEC)をINF-α存在下で培養し、細胞内ROS(DCFを用いたfluorometer法)及びmtROS(還元型Mitotracker Redを用いたlight microscopy法)を測定した。TNF-αは細胞内ROS及びmtROSの産生増加を示した。 (2)TNF-αによるeNOSリン酸化抑制作用:HUVECをインスリンで刺激すると、eNOSリン酸化が認められたが、TNF-αで前処置をすると、eNOSリン酸化が抑制されることを確認した。 (3)mtROSとeNOSリン酸化の関連:上記TNF-αによるeNOSリン酸化抑制作用がアデノウイルスを用いmtROS抑制作用を持つMnSODを過剰発現させると、回復することを確認した。 (4)PPARγアゴニストによるmtROS抑制作用の検討:PPARγアゴニストによる前処置を行うと、高グルコースによるmtROS産生効果が濃度依存的に抑制された。 (5)PPARγアゴニストによるMnSOD発現誘導作用:mtROS抑制作用を持つMnSODの発現がPPARγアゴニストにより冗進することをreal time RT-PCR法で確認した。 以上より、本年度はHUVECにおいてTNF-αがmtROSを増加させること、またmtROS産生過剰がeNOSリン酸化抑制に関連している可能性、さらにはPPARγアゴニストによるmtROS抑制作用を証明した。mtROSは糖尿病性大血管障害の発症に大きく関与していることが推測された。
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Research Products
(6 results)