2006 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白関連分子Rho-kinaseによるインスリン遺伝子発現調節
Project/Area Number |
18590996
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古川 昇 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (90335795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水流添 覚 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50398202)
近藤 龍也 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (70398204)
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Keywords | Rho-kinase / インスリン遺伝子 / 膵β細胞 / プロモーター / MIN6 / Y-27632 |
Research Abstract |
本研究の目的は膵β細胞におけるインスリン合成分泌におけるRho-kinaseの役割を明らかにすることである。まず膵β細胞におけるインスリン合成に対するRho-kinaseの影響を検討するため、マウス由来の膵β細胞株であるMIN6細胞に、ヒトインスリン遺伝子プロモーターを挿入したルシフェラーゼベクターを導入し、Rho-kinase特異的阻害剤であるY-27632存在下あるいは非存在下で培養後、ルシフェラーゼアッセイを施行した。その結果、Y-27632によりヒトインスリン遺伝子のプロモーター活性が上昇することが示された。このことよりRho-kinaseはインスリン遺伝子の発現を負に調節している可能性が示唆された。インスリンプロモーターにはインスリン遺伝子の転写を調節する転写因子が結合し得るcis-acting elementがいくつか知られており、その主なものは5'端よりNeuroDなどが結合するE-box、PDX-1などが結合するA-box、CREBが結合するCREなどである。そこでRho-kinaseにより調節される転写因子の結合部位を同定するため、種々の長さに切断したインスリン遺伝子プロモーターを挿入したルシフェラーゼベクターを作成し、MIN6細胞に導入、Y-27632存在下或は非存在下で培養後ルシフェラーゼアッセイを施行した。その結果、E-boxまでdeletionしてもY-27632によるプロモーター活性の上昇は認められたが、A-boxまでdeletionした場合、Y-27632による活性化は認められなかった。以上より、Rho-kinaseによるインスリン遺伝子プロモーター抑制は、A-boxに結合しうる転写因子を介している可能性が示唆された。今後、Rho-kinaseが関与する転写因子の同定、並びにその調節機構の更なる解析を進める予定である。
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