2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591010
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中島 康秀 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 名誉教授 (20038780)
|
Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / マウス / 遺伝子改変 / 生活習慣病 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
一酸化窒素合成酵素(NOS)には,神経型(nNOS),誘導型(iNOS),内皮型(eNOS)の3種類の異なったアイソフォームが存在する。過去に,生活習慣病における各NOSの役割が,NOSアイソフォーム欠損マウスを用いて研究されてきた。しかし,各NOS間には代償機構が働くために,NOSシステム全体に由来するNOの究極の役割については,未だ十分に解明されていない。ζの点を検討するために,我々は,3つのNOSsをすべて欠失させたNOSシステム完全欠損マウス(トリプルn/i/eNOSs欠損マウス)を世界に先駆けて創出した(PNAS2005)。本研究では,このマウスにおける生活習慣病の有無を検討した。 3ケ月齢のオスの野生型マウス,3種類のシングルNOS欠損マウス,及びトリプルNOSs欠損マウスを実験に使用した。血圧値はtail-cuff法で,血漿脂質及び血糖値は比色法で,インスリン抵抗性はインスリン刺激による単離ヒラメ筋[H^3]-2-deoxyglucose取り込み能で評価した。血圧値は,野生型マウスに比してeNOS欠損マウスとトリプルNOSs欠損マウスで同程度に有意に増加していた。糖負荷後の血糖値も両マウスで有意に増加していたが,その増加のレベルはトリプルNOSs欠損マウスで有意に高値であった。興味深いことに,血漿低比重リポタンパク(LDL)レベルはトリプルNOSs欠損マウスでのみ有意な増加を認めた。一方,インスリン抵抗性はすべてのNOS欠損マウスで認められたが,その程度はトリプルNOSs欠損マウスで最大であった。重要なことに,アンジオテンシンII1型(ATI)受容体拮抗薬を長期に経口投与すると,トリプルNOSs欠損マウスにおけるこれらの代謝異常はすべて有意に改善された。 以上より,NOSシステムが,AT1受容体経路を介して,生活習慣病の成因に中心的な役割を果たしていることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)