2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成蛋白BMPによる新たな生殖内分泌調節メカニズムの解明とその臨床的応用
Project/Area Number |
18591026
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大塚 文男 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40362967)
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Keywords | 内分泌腺 / 卵巣顆粒膜細胞 / 骨形成蛋白BMP / ステロイド合成 / 女性ホルモン / 細胞増殖因子 / ゴナドトロピン / 不妊 |
Research Abstract |
正常な卵胞発育過程は卵巣に存在する様々なサイトカイン・成長因子によって統御されている。我々は卵胞に発現を認めるBMP分子に着目して研究を行った。卵胞成熟段階におけるBMPの重要性を明らかにするために、昨年までに確立したラット幼若卵巣の顆粒膜細胞の初代培養系およびoocyte単離培養系を用いて細胞生物学的な検討を行った。平成19年度の研究では、前年度までに明らかとなったBMP-6,-7,-15の黄体化抑制のメカニズムに加えて、顆粒膜細胞由来のBMP-2・莢膜細胞由来のBMP-4が、gonadotropin/FSHによるMAPK-p38経路の活性化を促進すること、そしてoocyteはこの作用をさらに増強することが明らかとなった。つまり、顆粒膜細胞に強く発現するactivinと同様にBMP-2/BMP-4はFSHによる顆粒膜細胞でのエストロゲン産生を促進し、oocyteはこのシグナルをさらに増幅する。一方でactivinによるcAMP-PKA経路の活性化とは異なり、BMP-2/BMP-4はFSHによるcAMP合成を強く抑制することが示された。このように、卵胞BMPはoocyteの存在下で顆粒膜細胞と種々のシグナルでコミュニケーションし、gonadotropin作用を変調して卵胞ステロイド合成や細胞分化を制御することが明確となり、卵胞機能の分子マーカー・卵胞機能改善のキーファクターとしての発展性に期待できる分子であることが裏付けられた。さらに、下垂体ゴナドトロープ細胞でのBMP-2/BMP-4によるゴナドトロピン転写調節と細胞増殖作用も新たに明らかになり、この機序にPPAR活性化の関与も示唆された。生殖内分泌系以外にも、骨芽細胞機能の安定化や副腎皮質ステロイド合成刺激作用などのBMPの新たな側面も発見され、systemicなBMP作用の存在意義についても一層明確にすることができた。
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Research Products
(27 results)