2006 Fiscal Year Annual Research Report
DOCK2を介したB細胞の微小環境への遊走機構解析と血液悪性腫瘍治療への応用
Project/Area Number |
18591036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西尾 充史 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (10322801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 広史 北海道大学, 大学院医学研究科, 助手 (50322805)
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Keywords | DOCK2 / ケモタキシス / siRNA / リンパ増殖性疾患 / 多発性骨髄腫 / メモリーB細胞 / ナイーブB細胞 |
Research Abstract |
1.siRNA導入の条件設定を行うため、ヒトB細胞系細胞株であるRamos, Raji, Daudi、あるいはヒト形質細胞腫株RPMI8226、U266などに対して、Amaxa社Nucleofectorを用いて、DOCK2 siRNA(Invitrogen社Sealth^<TM>)の導入を行った。導入効率は、total cell lysateを用いたWesternblotにより評価した。結果、当初予想されたよりも、浮遊系細胞である上記細胞株へのsiRNAの導入効率が不良であった。一つにはエレクトロポレーションによる細胞障害が強い、と考えられたため、同じsiRNAをリポフェクションにより導入したが、これによっても導入効率の改善は得られなかった。そのため、現在はプラスミド(pSUPER basic)にsiRNAを挿入した物を作成し、ピューロマイシンによりセレクションを行い、stable cloneを得る様、方向転換をした。現在、プラスミドの作成は終了し、今後は細胞株へのトランスフェクションを予定している。 2.DOCK2は全ての血液細胞に、その状態・分化段階に関わらず高い発現を示した。そのため、DOCK2の活性化のメカニズムとしては、DOCK2そのものの発現量の変化、ということは考えにくい、と思われた。一方、DOCK2とセリンリン酸化抗体による免疫沈降法では、興味深いことに、Jurkatなどの細胞株に加え、慢性リンパ性白血病患者の末梢血(n=2)において、DOCK2のリン酸化が見られた。一方、定常状態の正常末梢血B細胞ではこのリン酸化は見られなかった。以上からケモカインやインテグリンなどによる刺激が入らない状況下で既に、腫瘍細胞と正常細胞の間のDOCK2のリン酸化に差が見られる可能性が示唆された。今後はSDF-1などの刺激によるDOCK2のリン酸化のタイムコースなどを行い、更にこのリン酸化の生理あるいは病理的意義を検討する予定である。
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