2006 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子,細胞周期因子,がん抑制因子の連携による造血幹細胞の増殖の制御
Project/Area Number |
18591037
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
峯岸 直子 東北大学, 先進医工学研究機構, 助教授 (40271895)
|
Keywords | 造血幹細胞 / 細胞周期 / 細胞増殖 / アポトーシス / リン酸化 / 蛋白質分解 / 静止期 / 転写因子 |
Research Abstract |
GATA2は造血幹細胞の増殖と生存に必須の転写因子である。本因子の遺伝子ノックアウトマウスにおいては胎児血液細胞の細胞死の充進が見られ、それががん抑制因子であるp53の制御下にもあることか示唆されている。我々は、GATA2がユビキチン/プロテアソーム系による分解を受け、非常に速い代謝回転下にあることを報告し、分解系を制御する分子機構とP53経路の接点に興味を持った。本研究では、まず、白血病由来細胞株を用いてGATA2の発現がS期後期からG2期において上昇し、M期に分解されること、この制御にはmRNAレベルの制御とともにプロテアソーム依存性分解機構が関わっていることを見いだした。また、GATA2はp53の下流遺伝子として知られるBclxのプロモーター領域に結合していることを見いだし、その結合も同様の細胞周期特異的変動を示すことを明らかにした。同様の細胞周期特異的変動は、サイトカインとともに培養したマウス骨髄造血前駆細胞分画やヒト臍帯血CD34陽性細胞においても認められ、また、GATA2発現はG0期の正常造血細胞においても上昇していた。293T細胞にGATA2を過剰発現するとG1期での細胞増殖の停止が認められることより、正常の細胞周期の進行にはGATA2発現の一時的低下が必須であることが予想された。さらに、CDK活性の抑制剤添加、invitroリン酸化、GATA2変異体の解析等により、細胞周期のサイクリン/Cdk複合体が、細胞周期特異的なリン酸化活性によってGATA2の複数のセリン/スレオニン残基をリン酸化し、GATA2のプロテアソーム依存性分解を制御していることを明らかにした。
|
Research Products
(5 results)