2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
半下石 明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20344450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 隆司 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10376436)
熊野 恵城 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90396721)
山本 豪 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (70396753)
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Keywords | Blimp-1 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
6番染色体長腕の欠失は、リンパ系腫瘍で最も高頻度に観察される染色体異常の一つである。我々は以前に種々のリンパ系腫瘍検体について6q欠失領域の詳細なマッピングを行い、その最小欠失領域に認められた共通のホモ接合性欠失の領域から、唯一の構造遺伝子として、Blimp-1を同定した。さらに、リンパ系腫瘍試料を用いた変異解析においても、Blimp-1の腫瘍特異的な遺伝子変異が検出されることから、同遺伝子がリンパ系腫瘍の発症に関与する癌抑制遺伝子である可能性が示唆されている。Blimp-1は、当初成熟B細胞から形質細胞への終末分化を制御する転写抑制因子として同定された分子であるが、その後の研究により、B細胞以外にも骨髄球系細胞、T細胞、筋細胞、生殖細胞など様々な細胞系列の分化に関与することが知られている。今回、我々はBlimp-1の癌抑制遺伝子としての機能について、細胞周期における制御に焦点をあてて解析を行った。実際、Blimp-1は種々の細胞に対して細胞周期の停止を誘導し、細胞の増殖を強く抑制する。FACSを用いた解析では、Blimp-1による細胞周期の抑制はG1およびG2期で生じていることが示された。さらにマイクロアレイを用いた網羅的な発現解析などにより、Blimp-1によるG1停止がRbに依存しており、p21,p57の誘導によるRbのリン酸化によりG1停止が誘導されることが示された。一方、G2停止はBlimp-1によるp53蛋白の発現の増加に依存していること、また、このp53の蛋白レベルの上昇は、転写後調節を介することが明らかとなった。さらに、Blimp-1部分欠失変異体を用いた解析の結果、Blimp-1による細胞周期の制御には、PR domainとzinc finger domainが必須であること、また腫瘍でみとれられた変異Blimp-1では細胞周期の抑制が障害されていることが示された。以上より、細胞周期の負の制御がBlimp-1の癌抑制遺伝子としての作用に重要な役割を担っていることが示唆された。一方Blimp-1コンディショナルノックアウトマウスについては、リンパ節の腫大は認めるものの現在のところ腫瘍の発症は認められず、経過観察中にある。
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Research Products
(2 results)