2007 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーを用いたキメリズム解析による臍帯血移植後の生着不全病態の解明
Project/Area Number |
18591045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 信和 The University of Tokyo, 医科学研究所, 産学官連携研究員(特任助教) (10334278)
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Keywords | キメリズム / HLA / 臍帯血移植 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
平成18年度に引き続き、フローサイトメトリーで利用可能な抗ヒトHLA抗体の準備、および臍帯血移植後の混合キメリズム解析を行った。我が国で抗原頻度の高いHLA-Bに対する抗体が市販されていないので、米国One Lambda社(Canoga Park、CA)と協議し、同社が保有する未公開クローンから抗体を精製して蛍光標識を行った。その結果、HLA-B35およびHLA-B48/60に対する新規抗体が利用可能となり、本キメリズム解析法(HLA-Flow法)を利用できる臍帯血移植症例の割合が、平成18年度の45%から70%にまで増加した。これにより、HLA-Flow法の臨床における有用性は格段に高まった。臍帯血移植後の症例解析では、平成18年度に報告した生着不全と再発の早期診断に加え、再発後の腫瘍細胞の評価に極めて有効であることが判明した。移植後の再発では、化学療法や再移植の適応の決定に腫瘍細胞量の正確な評価は不可欠である。しかしながら、白血病細胞に遺伝子マーカーが存在しなかったり、表面マーカーが治療後に変化する場合があり、その評価が困難な場合がある。我々は、HLA-Flow法とCD34-CD45プロット法を組み合わせ、腫瘍マーカー陽性のレシピエント由来細胞に正確にゲートをかけることで、容易かつ定量的に白血病細胞動態を評価することに成功した。これにより、HLA-Flow法の応用範囲が大きく広がった。なお、臍帯血移植後の末梢血からドナーおよびレシピエント由来細胞をソーティングして遺伝子発現プロフィールを解析し、生着不全のメカニズムの解明をめざす予定であったが、準備が間に合わずできなかった。本件に関しては、平成20年度以降、新たなプロジェクトで研究を進める予定である。
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