2006 Fiscal Year Annual Research Report
血小板凝集を惹起する新しい受容体CLEC-2:抗血栓薬新規ターゲット蛋白の可能性
Project/Area Number |
18591052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
井上 克枝 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (10324211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 由基男 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30134539)
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Keywords | 血小板 / 抗血小板薬 / CLEC-2 |
Research Abstract |
先に我々は、平成16年度科学研究費若手Bの助成(16790533)を受け、血小板凝集を惹起する蛇毒蛋白rhodocytinの血小板上受容体が、CLEC-2であること見出し、発表した。CLEC-2は今までに知られている血小板凝集惹起受容体とは全く異なるCタイプレクチン様受容体に属し、そし生理的なリガンドと生体内での役割が注目されている。今回の基盤Cでは、そのCLEC-2の生理的なリガンドを検索することと、ノックアウトマウスの作成を目的とした。 1)CLEC-2ノックアウトマウス ES細胞へのターゲッティングベクターのエレクトロポレーションの段階からクラボウに委託した。出願時、キメラマウスよりF1マウスが誕生した段階であったが、その後スクリーニングの段階で不備が見つかり、このベクターでのノックアウトマウス作成を断念した。平成18年5月より新たにノックアウトベクターを作成しなおして、ノックアウトマウスを作成中である。現在PCR,サザンブロットで7個の陽性ESクローンが検出された段階である。 2)CLEC-2の生理的リガンド CLEC-2のリガンドである蛇毒蛋白ロドサイチンのアミノ酸配列の相同性を検索したところ、プロテオグリカンの一種、バーシカンのコア蛋白がヒットした。ウシ大動脈より粗精製したバーシカンを用いて、ビアコアでCLEC-2リコンビナント蛋白との結合を検討したところ、結合が認められた。しかし、粗精製バーシカンによる血小板活性化は認められず、純粋なバーシカンを得ることも困難なため、この検討は中断し、別のリガンドを検索した。腫瘍細胞の表面に好発現する蛋白Aは血小板凝集を惹起し、これが腫瘍の血行性転移促進しているのではないかといわれている。しかし、蛋白Aの血小板上のリガンドは不明であった。我々は蛋白Aによる血小板凝集とロドサイチンによる血小板凝集の性質が類似していることに着目し、蛋白Aの受容体がCLEC-2ではないかと考えた。蛋白A発現細胞にCLEC-2リコンビナント蛋白の結合とその逆の現象がフローサイトメーターで確認され、蛋白A惹起血小板凝集はCLEC-2リコンビナント蛋白で抑制されることから、この類推が正しいことが証明された。蛋白AとCLEC-2の結合を抑制することで癌の血行性転移を抑制できる可能性があり、非常に有用な発見といえる。そのためこの知見は現在国際特許仮出願中である。また、現在Joumal of Biological Chemistryに投稿中である。
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