2006 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞、脳梗塞におけるストレス応答性向血栓遺伝子の発現機構の解明とその制御
Project/Area Number |
18591053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90362251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Keywords | 血栓症 / フィブリン / 遺伝子発現 / 線溶 / ストレス / エコノミー症候群 / サイトカイン / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
マウスに心因性ストレスを負荷する方法として拘束ストレス法を用い、ストレス負荷後の向血栓(血栓溶解阻害)遺伝子PAI-1の発現動態を解析した。具体的にはマウスを50ml tube内に一定時間(最長20時間)閉じ込めた(飲水のみ可)後、血漿と組織を採取し、血漿中のPAI-1抗原量を測定するとともに、組織からRNAを抽出してcompetitive RT-PCR法によりPAI-1 mRNAを定量した。拘束ストレス負荷2時間後に早くも血中PAI-1抗原量および腎臓、副腎、脂肪組織などでのPAI-1 mRNA発現量が有意に増加した。ストレス負荷20時間後には、血中PAI-1抗原量は負荷前の約7倍と著明に上昇し、組織でのPAI-1 mRNA発現量も肝臓(4倍)、大動脈(3倍)、副腎(12倍)、脂肪組織(20倍)において顕薯に増加した。また同時に、サイトカインのひとつでPAI-1の発現刺激因子でもあるTNF-αの血中レベルも測定したが、拘束ストレス後には有意な増加を認めた。 in situ hybridization法にてマウス組織におけるPAI-1 mRNAの局在について検討してみると、拘束ストレス負荷により肝細胞、腎尿細管上皮細胞、傍大動脈交感神経節の細胞、脂肪細胞、副腎髄質内の腺細胞(クロム親和性細胞)などに一致してPAI-1 mRNAシグナルの増強を認めたが、脂肪組織(細胞)におけるシグナルの増強がもっとも顕著に認められた。一方、20時間拘束ストレス負荷後のマウス組織において、フィブリン免疫組織化学により微小血栓沈着の有無を検索したが、明らかな血栓形成は認められなかった。 以上の検討により、心因性ストレスによって種々の臓器で向血栓遺伝子PAI-1の発現が増強することが明らかとなったが、これが直接に血栓症発症につながるかどうかについては、さらなる検討が必要であると考えられた。
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