2007 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞、脳梗塞におけるストレス応答性向血栓遺伝子の発現機構の解明とその制御
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18591053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 晃士 Nagoya University, 医学部附属病院, 講師 (90362251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Keywords | 血栓症 / フィブリン / 遺伝子発現 / 線溶 / ストレス / ロングフライト症候群 / サイトカイン / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
向血栓性因子PAI-1は血栓形成を促進するのみならず、組織の線維化の進展にも寄与する。これは、プラスミン生成の抑制による組織線溶の阻害を介するもので、結果として細胞外マトリックスの沈着が促進され、組織の線維化が進むことになる。心筋梗塞病変部におけるPAI-1の病理学的役割を明らかにするため、心筋梗塞後慢性期のマウス心臓における間質線維化病変の進展とPAI-1発現との関連について検討した。マウスの左冠状動脈を結紮することによって部分的な心筋梗塞を起こさせ、2〜4週後の慢性期に、不全心の生理機能と、PAI-1の発現、病理組織学的変化について解析を行った。その結果、Shamマウス(開胸のみで冠状動脈の結紮をしない)と比較して心筋梗塞後マウスでは\血中PAI-1値の有意な上昇と、心臓由来のPAI-1 mRNAの顕著な発現亢進を認めた。in situ hybridization法による検討により、このPAI-1 mRNAの発現増強は不全心での梗塞巣周囲の心筋細胞、血管平滑筋細胞、肥満細胞等に由来することが明らかとなった。また心筋梗塞後マウスでは、梗塞巣周囲、非梗塞域の血管周囲および心内膜側に明らかな線維性変化の進展を認めた。一方、非梗塞域心筋では、通常は見られない炎症性サイトカイン(TGF-β、TNF-α)のmRNA発現の亢進を認め、心筋において炎症性サイトカインがオートクライン的にPAI-1の遺伝子発現をup regulateしたと考えられた。PAI-1ノックアウトマウスでは慢性期の間質線維化病変は有意に減少する一方で、急性期の心破裂が有意に多かった。以上より、PAI-1は心臓においても創傷治癒、リモデリングの過程で、線維化病変の制御を介して重要な役割を果たしていると考えられた。
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Research Products
(3 results)