2007 Fiscal Year Annual Research Report
白血病の発症、進展に及ぼすNucleophosmin遺伝子変異の分子機構の解析
Project/Area Number |
18591054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清井 仁 Nagoya University, 医学部附属病院, 講師 (90314004)
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Keywords | 白血病 / ヌクレオフォスミン / 遺伝子変異 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Nucleophosmin(NPM)は、成人急性骨髄性白血病(AML)の約30%に遺伝子変異が存在し、臨床的にも予後を規定する因子であること、更にNPM遺伝子の発現低下が骨髄異形性症候群細胞(MDS)の発症や細胞分裂の異常に関与していることなどから、造血器腫瘍の中でも特にAMLやMDSの発症基盤を理解する上で重要な分子であると考えられている。本研究においては、変異NPM分子がAMLとMDSの病態に及ぼす分子機構の解明を第一義にとらえ、NPM分子単独での作用機序のみならず、FLT3に代表されるAMLやMDSに高頻度で遺伝子異常が認められる分子群と協調しての分子機構を中心に解析を進め、本年度は下記の研究成果を得た。 1.正常及び変異NPM分子特異的抗体を作製した。 2.この特異的抗体は、ウエスタンブロットおよび免疫染色の両者に対して使用可能であった。 3.臨床検体を用いた検討により、変異NPM分子は、核小体から移行するが、その全てが細胞質内へ移行するわけではなく、核小体外の核内にも留まることが明らかになった。 4.白血病および骨髄異形性症候群臨床検体において、mRNA発現量とNPMタンパク量には乖離が認められることが明らかとなり、翻訳後修飾による機能制御の可能性が示唆され、特に、リン酸化による細胞分裂の制御機構との関連が疑われた。 5.しかし、成熟好中球への分化過程において、正常及び変異NPM分子の局在は変化しないことより、細胞周期、細胞分裂に対する制御機構においては、介在分子の存在が示唆されると同時に、より未分化な幹細胞レベルにおいて腫瘍化に関与していることが推測された。
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