2007 Fiscal Year Annual Research Report
造血細胞の増殖・老化制御におけるSir2遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
18591059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江副 幸子 Osaka University, 医学部附属病院, 特任助教 (90379173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系・研究科, 教授 (20177489)
水木 満佐央 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80283761)
織谷 健司 大阪大学, 医学系・研究科, 講師 (70324762)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系・研究科, 助教 (60346202)
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Keywords | SIRT1 / ROS / p16INK4a / p53 / MAPK |
Research Abstract |
本年度はSIRT1が造血幹細胞の分化を制御する機構についておもに解析した。 SIRT1の機能を抑制した造血幹細胞において造血細胞の増殖・分化を制御する因子の発現を解析した。KSL細胞をSCF,TPO,IL-6,FL3L存在下で培養する際に、NAを添加したところ、E2Fの発現は軽度低下し、p16INK4a,p19Arfの発現が増加した。造血幹細胞において活性酸素種ROSの蓄積がp16の発現を誘導することが報告されている。培養の際に、NA単独あるいはそれに加えて抗酸化剤N-acetyl Cysteine(NAC)を添加した。REDOX sensor redCC1の取り込みによりROSの蓄積を検討したところ、NA添加によりROSの蓄積を認めたが、NA+NACを添加した場合にはROSはCTLと同程度まで消去されていた。また、Lin-Sca-1の細胞分画はNA添加により減少したが、NA+NAC添加時には、コントロールの培養と同程度まで回復していた。このことよりNAによる分化の促進はROSの蓄積を介するものと考えられた。また、p16の発現にMAPKが作用することが報告されているためMAPKのinhibitorの作用を検討した。いずれのMAPKの作用を押さえた状態でもなおNAにより分化が誘導されたことより、SIRT1による増殖抑制はMAPKシグナル伝達経路を介さないと考えられた。 次にSIRT1の脱アセチル化の主要なターゲットであるP53のinhibitor Pifithrinαを加え、p53の作用を解除してもNAにより分化が誘導された。p53ノックアウトマウス由来のKSL細胞においてもWTと同様、NAにより分化誘導が見られた。 以上よりSIRT1はp16INK4aやp19Arfの発現増強とROSの消去を介し、造血幹細胞の未分化性の維持に関与していると考えられた。
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Research Products
(4 results)