2006 Fiscal Year Annual Research Report
転写コアクチベーターTRAP220による造血幹細胞維持機構
Project/Area Number |
18591061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 光宏 神戸大学, 医学部, 教授 (50362794)
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Keywords | 造血支持細胞 / 核内受容体 / MED1 / TRAP220 / メディエーター / TRAP複合体 / 造血前駆細胞 / 胎児線維芽細胞 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
私達は先に動物細胞で核内受容体とRNAポリメラーゼII(pol II)を直接結ぶコアクチベーターとしてメディエーター/TRAP複合体を発見したが、その後私達や他研究者によってメディエーター複合体がpol IIホロ酵素複合体の構成成分である基本的転写共役複合体であることが証明された。MED1/TRAP220は核内受容体と結合するサブユニットであるが、私はノックアウトマウスを作製し、MED1/TRAP220が核内受容体特異的コアクチペーターとして個体や細胞の増殖・分化・恒常性維持に重要であることを示した。一方でMED1/TRAP220が核内受容体以外のアクチペーター機能を収束することを示唆する報告がある。しかしその造血における役割を示す報告はまだ少ない。 先行する研究で、私達はMED1/TRAP220が造血前駆細胞において、レチノイン酸受容体依存性の顆粒球分化とビタミンD受容体依存性の単球分化に重要な役割を果たすコアクチベーターであることを示した。造血組織は造細胞と造血支持細胞から構成される。そこで、本研究ではMED1/TRAP220の造血支持能を検討している。 ノックアウトマウスは胎生早期致死性のため解析が困難であるが、胎児線維芽細胞MEFは得られる。MEFは造血支持能がある。そこで、MEFを用いて造血支持能を検討した。 野生型マウス骨髄細胞をMEFの上で長期培養条件にて培養したところ、培養の2日後にはすでにノックアウトMEFで共培養した造血細胞数が低下し始め、その後も造血細胞数が有意に少なかった。さらに長期培養を行った後にメチルセルロース内のコロニーアッセイで検討すると、ノックアウトでコロニー数の低下を認め、ノックアウトMEFの造血支持能の低下が示唆された。造血支持能において核内受容体の関与を示唆する知見はないので、この表現型は核内受容体を介さない機序が予想される。 現在、上記の知見を検証中であり、本研究の2年めには上記の表現型の機序を分析していく予定である。
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