2007 Fiscal Year Annual Research Report
造血関連転写因子AML1/RUNX1の変異による白血病発症機構の解明
Project/Area Number |
18591078
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
奥田 司 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 教授 (30291587)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀池 重夫 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (10209273)
|
Keywords | 癌 / 白血病 / 遺伝子改変マウス / 転写因子 / RUNX1 / AML1 / レトロウイルス |
Research Abstract |
ヒト急性白血病においてAML1/Runx1遺伝子は染色体相互転座による融合遺伝子形成によってその発症に関わるが、DNA結合ドメインにおけるミスセンス変異も同様に白血病発症に関与することが近年明らかにされてきた。本研究では、このような遺伝子変異の役割について、マウス個体レベルで明らかにすることをその目的とした。まずAML1遺伝子のホットスポット点突然変異であるR139Q、R174QそしてR177Q、そして自験の挿入型変異である1150insについて、それぞれ遺伝子改変マウスを作製した。ホモ接合マウスの解析によって、これらがすべて機能喪失型変異であることを明らかにした。他方、ヘテロ接合マウスではいずれも白血病の自然発症は観察されず、AML1変異だけでは白血病発症を誘導するには不十分であり、協調遺伝子変異の蓄積が必要となることが示された。そこでR174Qマウスを対象としてレトロウイルス感染による造血器腫瘍誘発実験をおこなった。その結果、野生型マウスに比べ、同胞のヘテロ接合マウスではより早期に白血病発症が誘導される傾向が認められた。これはAML1のミスセンス変異が白血病発症を一歩進める働きをもつことを示すものと考えられる。次いで白血病細胞におけるプロウイルス挿入部位を検索した。プロウイルス近傍に存在する遺伝子としては、リン酸化・脱リン酸化酵素群、細胞表面受容体群、転写関連蛋白群、接着分子群などが認められ、そのうちRTCGDデータベースに登録されているものが約3分の1であった。一方、挿入部位の近傍に既知遺伝子を認めないクローンも認められた。本研究で見出されたcommon-integrated siteについてはこれまで知られてきたAML1ハプロ不全マウスでの報告例とはオーバーラップせず、今後、白血病発症における協調遺伝子(群)の特定を目指し、さらに検討を進めてゆきたい。
|
Research Products
(3 results)