2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト白血球抗原半合致移植片を利用した、難治性白血病に対する新しい移植療法の開発
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18591090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
小川 啓恭 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80194447)
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Keywords | 移植・再生医療 / 移植片対宿主病 |
Research Abstract |
HLA半合致(GVH方向2-3抗原不適合)ミニ移植の臨床研究に関して、26名の難治性悪性血液疾患患者に対して、我々の施設で行った成績を論文発表することにより、その有用性を世界に示した(Biol Blood Marrow Tr,2006;12:1073)。これらの患者の検討では、1人を除いて全員、ドナー血液細胞の生着に成功した。移植後のdonor/recipient chimerism解析では、前処置の強度を落としたにもかかわらず、T細胞、穎粒球、単球の全てのlineageにおいて、移植後早期にfull donor chimerismが成立していた。それにもかかわらず、重症GVHDの頻度は20%と低率であった。graft-versus-leukemia効果が高く、全員予後不良患者であったにもかかわらず、再発率は24%と低率に抑えられていた。このHLA半合致ミニ移植の優れた効果を、多施設で確かめるため、厚生労働省の「小寺班」の班研究として、phase I studyを実施し、予定していた10名の登録をすでに終了し、現在、その解析中である。 ミニ移植の前処置でHLA半合致移植を行うと、致死的なGVHDの発症を免れるmechanismについて、マウスのMHC半合致移植のモデルを用いて検討した。B6C3F1(H-2^<b/k>)→BDF1(H-2^<b/d>)の移植の系で、前処置として、7Gyの全身放射線照射(TBI)を用いると、80%のマウスが、 GVHDのため死亡する。TBI量をdose reductionしていくと、ドナー細胞の生着は起こるが、GVHDを発症しない、あるいは発症しても軽く、死を免れる状況を作り出すごとができた。この移植モデルにおいて、ミニ移植に相当する低容量TBI群で、GVHDが軽減する機序を、ドナーT細胞の動態を中心に解析した。ドナーT細胞は、recipientの脾臓などのsecondary lymphoid organに生着し、そこで抗原刺激を受け、活性化し、増幅する。この活性化の程度が大きいと、GVHDが重症化すると考えられる。しかし、両群(TBI高用量群とTBI低容量群)問で、活性化の程度、増幅度に有意差は見い出されなかった。次に、GVHD標的臓器へのドナーT細胞の浸潤の程度を解析すると、TBI低容量群で有意に減少していることが判明した。このGVHD標的臓器への浸潤度の違いが、臨床的なGVHDの重症度の違いにつながっていることが示唆された。現在、そのmechanismについて、解析を進めている。
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Research Products
(6 results)