2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外NM23分子の機能:初代培養白血病細胞の生存増殖促進とその作用機構
Project/Area Number |
18591091
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
角 純子 (岡部 純子) Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (30161136)
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Keywords | がん / 蛋白質 / 生理活性 / シグナル伝達 / NM23 |
Research Abstract |
「研究の目的」 血清NM23蛋白質が白血病の予後不良因子となる生物学的基盤として、細胞外環境におけるNM23蛋白質の生物学的機能を明らかにすることを目指している。前年度までに、細胞外環境におけるNM23蛋白質が、初代培養の急性骨髄性白血病細胞の生存・増殖を促進すること,その作用はサイトカインの誘導、MAPKおよびSTATのリン酸化の亢進を伴うことを明らかにした。がん細胞の特性発現におけるNM23の多彩な作用は、NM23と相互作用する蛋白質の存在によると示唆されているので、白血病細胞の増殖/分化と関連するNM23結合蛋白質を同定し機能を解析する必要がある。今年度は、白血病細胞抽出液を用いてNM23蛋白質と特異的に結合する蛋白質の分離同定を目指した。 「研究の成果」 1.Protein array、NM23抗体を用いた免疫沈降とWestern blottingおよび質量解析を用いて、NM23蛋白質と特異的に結合する蛋白質を探索し、白血病細胞における7個のNM23結合候補蛋白質(HSC70,RARα,RORα,NM23-H2,S100-A8、S100-A9、SPRR2E)を同定した。 2.白血病細胞の分化抑制/増殖促進に関連するNM23結合蛋白質をさらに絞り込むため、白血病細胞HL60のATRAによる顆粒球系分化誘導における、NM23結合候補蛋白質の発現動態を検討した。5個のNM23結合候補蛋白質は、白血病細胞の分化誘導に伴ってその発現が変動した。今後、分化に伴うNM23との結合形態の変化、細胞内局在の変動、白血病臨床検体における発現の検証、臨床的意義の解析、分化抑制に関与する新しい分子標的としての可能性を検討する。
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