2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患におけるCD47-SHPS-1シグナル系の機能解析
Project/Area Number |
18591098
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金子 和光 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00334095)
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Keywords | CD47 / SHPS-1 / ITIM / 樹状細胞 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / Th-17 |
Research Abstract |
細胞内にITIMと呼ばれるアミノ酸配列を有するSHPS-1は,樹状細胞やマクロファージなどの単球系の細胞に強い発現を認め,広く血球系に発現するCD47とレセプターリガンド関係を形成することが報告されている。しかし,免疫応答におけるCD47-SHPS-1シグナル系の機能解析は不十分であり,自己免疫疾患における解析はほとんど進んでいない。 そこで,本研究ではSHPS-1の細胞内を欠損するように作製されたSHPS-1遺伝子改変マウスを用いて,免疫応答におけるCD47-SHPS-1シグナル系の機能を解析した。本研究では自己免疫疾患の発症に重要な樹状細胞を中心として解析を行い以下の結果を得た。 1.SHPS-1遺伝子改変マウスを用いて,ヒトの自己免疫性疾患である多発性硬化症の動物モデルとされる実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導した。SHPS-1遺伝子改変マウスでは抗原となる髄鞘由来のペプチド(MOG)で免疫しても脳脊髄炎が生じなかった。 2.MOGで免疫されたSHPS-1遺伝子改変マウスから得られたT細胞は,MOGに対する増殖反応が弱く,MOG刺激の際に産生するIFN-γ,IL-2,IL-17などのサイトカインが減少していた。 3.SHPS-1遺伝子改変マウスから得られた樹状細胞は抗原特異的にT細胞を活性化する能力が障害されていた。また,IL-12で刺激した際にみられるIFN-γの産生も障害されていた。 これらの事実からCD47-SHPS-1系は樹状細胞の活性化と,抗原特異的T細胞の活性化に重要であり,自己免疫疾患の発症に影響を与える重要なシグナル系であることが判明した。
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Research Products
(4 results)