2006 Fiscal Year Annual Research Report
CD26およびcaveolin-1の相互作用を介した免疫応答の臨床免疫学的解析
Project/Area Number |
18591104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
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Keywords | CD26 / Caveolin / 免疫応答 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
CD26は110Kdaの膜蛋白であり、ヒトリンパ球の活性化や増殖の過程で重要な役割を果たしている細胞表面分子のひとつである。その細胞外ドメインにdipeptidyl peptidase IV(DPPIV)活性を有するT細胞共刺激分子であり、可溶性CD26は抗原特異的T細胞応答を増強する。CD26は抗原提示細胞上のcaveolin-1と結合し、CD26の201-211アミノ酸残基(caveolin-1 binding motif)およびDPPIV酵素の活性中心である630残基のセリンを介してcaveolin-1 scaffolding domainに結合することを最近明らかにした。また破傷風トキソイド(TT)処理した単球の表面に発現したcaveolin-1とCD26の相互作用の結果、caveolin-1はリン酸化され次いでNF-kappaBが活性化され、それに伴いCD86の発現が増強することも明らかにした。 抗原提示細胞上のcaveolin-1発現が減弱することにより、CD26を介するCD86の発現増強が抑制され、TT刺激によるT細胞増殖反応への可溶性CD26の増強も抑制された。関節リウマチ患者から採取した関節滑膜の免疫組織化学的検討では、CD26陽性T細胞は滑膜のsub-lining regionに浸潤し、増生した血管や滑膜細胞にはcaveolin-1が強く発現していることを明らかにした。活動性を有する関節リウマチ患者の関節液に可溶性CD26が検出された。 このことは関節リウマチの病変局所である滑膜ではCD26とcaveolin-1の相互作用を介した抗原特異的なT細胞応答がその病態に密接に関与している可能性を示唆するものである。
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