2007 Fiscal Year Annual Research Report
CD26およびcaveolin-1の相互作用を介した免疫応答の臨床免疫学的解析
Project/Area Number |
18591104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細野 治 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (50190210)
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Keywords | CD26 / Caveolin / 免疫応答 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
CD26は膜蛋白であり、その細胞外ドメインにdipeptidyl peptidase IV (DPPIV)活性を有するT細胞共刺激分子である。可溶性CD26は抗原特異的T細胞応答を増強する。CD26は抗原提示細胞上のcaveolin-1と結合し、CD26の201-211アミノ酸残基およびDPPIVの活性中心である630残基のセリンを介してcaveolin-1 scaffolding domainに結合する。関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、HIV感染症において、破傷風トキソイド(TT)処理した単球の表面に発現したcaveolin-1とCD26の相互作用により、caveolin-1はリン酸化され次いでNF-kappaBが活性化され、それに伴いCD86の発現が増強するが、免疫病態、活動性、治療などにより発現に差を認めた。血清中の可溶性CD26は活動性のRAやSLEで低下しており、抗原提示細胞上のcaveolin-1を介して取り込まれCD86の発現に寄与している可能性が示唆された。さらにRAでは抗リウマチ薬やTNF-α遮断療法により血清中の可溶性CD26の上昇がみられている。 抗原提示細胞上のcaveolin-1発現が減弱することにより、CD26を介するCD86の発現増強が抑制され、TT刺激によるT細胞増殖反応への可溶性CD26の増強も抑制された。Dimeric CD26はその細胞質ドメインを介してCARMA1と結合しCD86発現を導くが、monomeric CD26ではみられない。関節リウマチ患者の関節滑膜の免疫組織化学的検討では、CD26陽性T細胞は滑膜のsub-lining regionに浸潤し、増生した血管や滑膜細胞にはcaveolin-1が強く発現しており、CD26とcaveolin-1の相互作用を介した抗原特異的なT細胞活性化がその病態に密接に関与し、CD26-caveolin-1が治療標的となりうることが示唆された。
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