2006 Fiscal Year Annual Research Report
「MRSAプール」の概念に基づく先制攻撃的かつ重点的な感染対策法の確立
Project/Area Number |
18591107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 章司 Osaka University, 医学部附属病院, 助教 (80379164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40202204)
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Keywords | MRSA / 感染リスク因子 / 感染対策 |
Research Abstract |
本研究は、病棟単位(全患者)でのMRSAの伝播・感染状況および感染リスク因子を評価し、続いて各診療科の間で移動する患者群、すなわち病院全体、さらに近隣の病院を含めた地域としてのMRSAの動き、感染リスク因子およびその対策法を検討するものである。平成19年3月より、(1)当院の集中治療部(ICU)-心臓血管外科-循環器内科病棟間でのMRSA患者の動き、(2)当院のICU-消化器外科-消化器内科病棟間でのMRSA患者の動き、(3)済生会吹田病院(倫理委員会が病院全体としてのMRSA保菌調査を承認)のICUと消化器外科、胸部外科、新生児ICU(NICU)、一般内科病棟間でのMRSA患者の動きの全数調査を順次開始した。(1)の当院心臓血管外科関連の調査では、平成19年前半は入院患者のMRSA保菌率は2〜4%であるが、近隣病院からの緊急手術目的での転入症例が増加した平成19年後半では4〜8%と増加傾向にあり、紹介の多い近隣病院ごとのMRSAの動きも評価する必要性がある。(2)の当院消化器外科関連では、MRSA保菌率はほぼ4〜6%であり、長期間のドレーン管理と臓器移植に伴う免疫抑制治療がリスク因子であった。(3)の吹田病院ICU関連では、NICUを中心とする市中獲得型MRSA株の拡大が目立ち、当院感染制御部の((1)と(2)の全数をカバーする)感染症コンサルテーション症例におけるMRSA感染症患者の傾向(平成16年度から平成19年にかけて総数は減少傾向にあるが、平成18年度後後半以後、市中型獲得型MRSA株による感染症例が増加傾向にある)と同様であり、注意が必要である。平成20年度は、上記調査を継続しつつ、さらに詳細な解析を行い、MRSA感染リスク因子の同定とそのリスク因子に基づく改善策を検討して実施していく予定である。
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