2006 Fiscal Year Annual Research Report
TNFレセプター分子サイドから見直した自己免疫疾患における異常と治療への応用
Project/Area Number |
18591117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井田 弘明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60363496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 勝美 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30128160)
川上 純 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325639)
荒牧 俊幸 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (80404284)
有馬 和彦 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (30423635)
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Keywords | TNFレセプター / TRAPS / TNFRSF1A遺伝子 / 遺伝性周期性発熱症候群 / 疫学調査 / monocytic fasciitis / 診断基準 / tacrolimus |
Research Abstract |
TNFレセプター異常症のひとつであるTNF-associated periodic syndrome (TRAPS)は、TNFが病態の中心と考えられる遺伝性周期性発熱症候群である。今回、全国15施設を対象にTRAPS患者の疫学調査を行い、対象施設およびTRAPS疑いとして相談を受けた施設の症例の解析を行い、TRAPSの可能性を検討、TRAPS診断基準、治療法についても考察した。(方法)I.TRAPS全国疫学調査:症例は周期熱症例31例(男性13例、女性18例、5〜74歳)。病摩聴取、発熱時の血清サイトカイン測定、同意が取れた症例はTNFRSFIA遺伝子検索を行った。また、他の遺伝性自己炎症性疾患に当てはまる症例がないか検討した。さらに、論文発表、学会発表で本邦におけるTRAPS患者の突然変異を調査した。II.診断基準の検討:Hullらが2002年に提唱した診断基準が本邦の症例にあてはまるか検討した。III.治療法の検討:これまでの治療報告を検討するとともに、新しい治療法を試みた。(結果)I.全国疫学調査:1)発熱時の血清が得られた27例の検討では、18例にTNFα値の上昇(22.2-812pg/ml)がみられた。50pg/ml以上の症例が7例あった。2)遺伝子検索14例の検討では、エキソン2,3,4,6-7に突然変異はみられなかった。3)遺伝子検索14例中2例にMEFV遺伝子の突然変異がみられた。4)1例に新しい遺伝性自己炎症性疾患と考えられる症例が存在した。5)本邦における報告があったTRAPS患者は、5家系15例で、突然変異は5カ所(C30R, C30Y, T611,C70S, C70G)であった。II.診断基準の検討:本邦のTRAPS患者では、欧米で必発の胸痛、腹痛が少ない傾向があった。III.治療法の検討:TRAPS患者へTacrolimus (FK506)を使用したところ、臨床症状の改善、血清中のTNFα値低下、および合併していたmonocytic fasciitisの軽減を認め著効した。(結論)本邦のTRAPS患者の報告は増加しているが、突然変異のない孤発例の取り扱いをどうするか、今後の検討課題である。TRAPSの病因解明とともに診断基準の確立が望まれる。
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