2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591119
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松下 修三 Kumamoto University, エイズ学研究センター, 教授 (00199788)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 内科 / 免疫学 |
Research Abstract |
HIV-1感染を効果的に抑制する中和抗体の誘導を目的としたワクチン候補の探索が世界的に行われているが、いまだに多くのHIV株に対して中和活性を示す抗体の誘導は報告されていない。そればかりか、どのような中和抗体を誘導すべきかさえいまだ明らかでない。一方、長期非進行症例の中には、広範囲のウイルス株に対し強力な中和抗体活性を持つ症例がある。今回我々はこのような一人の長期非進行症例から20種類の中和単クローン抗体を分離した。V3-peptideに反応する抗V3抗体が6種類、CD4結合部位に対する抗体(CD4bs)が5種類、CD4結合後に露出するエピトープに対する抗体(CD4i)が4種類、どれにも分類されないものが5種類であった。これらのうち、実験室株に対して中和活性を示すものについて、臨床分離株やワクチン開発のスタンダードパネルに対する活性を調べた結果、広範囲の分離株に反応するV3抗体とCD4bs抗体が相補的に作用することを見出した。一方、V3抗体とCD4bs抗体は、相乗的にJR-FL株の増殖を抑えた。これらの結果から、中和抗体誘導型ワクチンの開発には広範囲の分離株に反応する抗V3抗体とCD4bs抗体の両方の誘導が必要であることがわかった。我々はまた、広範囲の分離株に反応し中和する人型化中和単クローン抗体、KD-247を用いてエスケープ変異を誘導し、エピトープの変異ばかりでなくV2の変異が及ぼす3量体構造での分子遮蔽が中和抵抗性に重要であることを報告した(Shibata,J., et. al.,J. Virol. 81,p 3757-68,2007)。中和抵抗性克服のためには、このようなエピトープ遮蔽メカニズムの解明が必要である。
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