2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591119
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松下 修三 Kumamoto University, エイズ学研究センター, 教授 (00199788)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 内科 / 免疫学 / AIDSワクチン |
Research Abstract |
HIV-1の世界的な拡大を阻止するワクチンの開発には、多くの期待が寄せられている。これまで、様々なワクチン候補が作製されたが、効果が確認されたものはない。その理由の一つは、ウイルスの感染を中和する「中和抗体」の誘導が困難である点があげられる。我々は、広範なウイルス株に対して中和活性を持つ長期非進行症例から、多数の単クローン抗体を分離し、中和活性を測定してきた。これらの抗体のうち、gp120のV3-peptideに反応し、中和する抗体である05γに、サブタイプBウイルスに対する広範囲の中和活性を認めた。一方、gp120のCD4結合部位(CD4-binding site;CD4bs)に反応する抗体の多くは、中和活性は部分的であったが、biotin化した0.5γのgp120に対する反応性を著名に増強することがわかった。中でも、0.5δと名付けた抗体は、0.5γのgp120に対する結合活性を飛躍的に増強した。このことは、CD4bs抗体の中にはgpl20に結合してその柔軟性を抑制し、抗体反応を促進するものがあると考えられた。これらより、有効なワクチン開発には、広範囲のサブタイプB分離株を中和する抗V3抗体と、これが中和しないウイルスに反応できるCD4bs抗体の両方を誘導することが必要と考えられた。我々は現在、gp120と0.5δを免疫複合体として免疫する実験をおこなっているところであるが、使用しているgp120SF2が適切かどうかに関する検討も必要である。
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