2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591126
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
増子 佳世 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (80288208)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 智啓 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (80233807)
中村 洋 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80227933)
遊道 和雄 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (60272928)
|
Keywords | 軟骨細胞 / 変形性関節症 / 関節リウマチ / 脂質メディエータ / スフィンゴシン / S1P / プロテオグリカン / プロスタグランジンn |
Research Abstract |
本研究の目的は、脂質および脂質メディエータが、ヒトの関節疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)における骨軟骨変性にいかに関与しているかを明らかにすることである。 本年度は、脂質メディエータのうち、セラミド関連スフィンゴ脂質であるスフィンゴシン1リン酸(sphingosine-1-phosphate ; S1P)に着目し、ヒト軟骨細胞を用いて次の実験を行なった。 各関節疾患および外傷患者より、患者のインフォームドコンセントを得て手術時に採取した軟骨より軟骨細胞を分離し、単層培養した。これら培養ヒト関節軟骨細胞を、各濃度のSIPにより試験管内で一定期間刺激した。培養後の軟骨細胞から、定法に従いmRNA,培養上清、ライゼート等を抽出し、SIP刺激前後での軟骨細胞における各種マーカーやサイトカイン産生等を比較した。 以上の実験より、以下の知見が得られた。 1.ヒト軟骨細胞および軟骨組織には、S1Pの受容体であるG蛋白結合受容体EDG/S1PRファミリーの発現がみられた。この発現には個体差が認められ、疾患による特異性は明らかではなかった。 2.培養ヒト関節軟骨細胞をSIPで刺激すると、プロスタグランジン(PG)E_2の産生が増加し、これにはシクロオキシゲナーゼ(COX)-2の発現増強が伴っていた。SIP刺激により軟骨細胞においてERKおよびp38MAPキナーゼのリン酸化が認められた。さらに、PGE2増加はG蛋白受容体阻害剤であるpertussis toxinで阻害されたことから、EDG/S1PRを介したシグナル伝達であることが示された。 3.S1P刺激軟骨細胞では、プロテオグリカンであるアグリカンの発現が低下した。 以上より、S1Pおよびその受容体を介したシグナルが、ヒト軟骨において軟骨代謝の一部を制御しており、関節疾患における軟骨変性に関与している可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)