2006 Fiscal Year Annual Research Report
タンデム質量分析新生児マススクリーニングの分析精度と有効性の研究
Project/Area Number |
18591146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
重松 陽介 福井大学, 医学部, 教授 (80162593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 郁江 福井大学, 医学部, 助手 (50251997)
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Keywords | 分析科学 / スクリーニング / 代謝異常症 / 脂肪酸 / 有機酸 |
Research Abstract |
タンデム質量分析新生児マススクリーニングにおける新しい試料調整法である無誘導体化法を試行し、約1年間でおよそ5万検体を分析する中で、以下の点を確認した。(1)毒性のある誘導体化試薬を使用する必要が無く安全で、かつ簡便で、1日あたり400から600検体(年間10万検体)という大量検体処理も可能となる。(2)無誘導体化法ではさらに多くのアミノ酸を分析できることから、シトリン欠損症のスクリーニング指標を精度良く設定でき、見逃し例を少なくすることができる。(3)ピバリン酸産生抗生剤投与によるイソ吉草酸血症スクリーニング偽陽性を、イソバレリルグリシンを分析する二次検査法を開発することにより、ほぼ無くすことができた。(4)高チロシン血症I型のスクリーニングにおける二次検査として、サクシニルアセトン定量法を採用することで、不要な再採血を無くすことが出来ることを確認した。(5)無誘導体化法で感度上問題となりうると考えられたグルタリルカルニチンの定量について、安定同位体標識標品の提供を受け、高感度機器を使用すれば良好な定量性が得られることを確認した。(6)カルニチントランスポータ異常症スクリーニングについて、新生児期の遊離カルニチン値でのカットオフ値の設定は、採血時期により遊離カルニチン値の変動が大きいので、更に患者での定量値で検討する必要があると考えられた。(7)無誘導体化法の問題点として、残存する干渉物質によるサンプル注入回路の閉塞があるが、濾紙血の蛋白固定処理、抽出溶媒や移動相の選択、質量分析計における分析条件などの検討が今後の課題である。 一方、対象疾患患者の医学管理と追跡調査においては、メチルマロン酸血症患児に対する生体部分肝移植の効果の評価にGC/MS法による体液中メチルマロン酸濃度の高感度定量法を応用し、特に髄液中濃度の意義について検討することが出来た。
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