2007 Fiscal Year Annual Research Report
動物実験モデルを用いた小児急性脳脊髄炎に対する骨髄幹細胞移植療法の開発
Project/Area Number |
18591147
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市川 元基 Shinshu University, 医学部, 教授 (60223088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩原 正明 信州大学, 医学部, 講師 (00293514)
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Keywords | 実験的自己免疫性脳脊髓炎 / 骨髓造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
雌のルイスラットに誘導した一過性で寛解型の実験的自己免疫性脳脊髄炎、雌のC57B/6マウスに誘導した慢性進行性の実験的自己免疫性脳脊髄炎および雌のNODマウスに誘導した再発寛解型の実験的自己免疫性脳脊髄炎に対して、雄のラットあるいはマウスの大腿骨から採取した骨髄細胞を脳内へ移植し、脳脊髄炎の発症頻度、症状の重症度を観察した。脳脊髄炎発症前に骨髄細胞移植を行った場合、脳脊髄炎の発症頻度については骨髄細胞移植群と骨髄細胞非移植群との間に有意差は見られなかった。また、症状の重症度については、一過性で寛解型の実験的自己免疫性脳脊髄炎では骨髄細胞移植群と骨髄細胞非移植群との間に有意差は見られなかったが、慢性進行性の実験的自己免疫性脳脊髄炎および再発寛解型の実験的自己免疫性脳脊髄炎については骨髄細胞移植群では再発率の低下や症状が軽い傾向がみられ、今後症例数を増やしてさらに検討していく必要がある。またY染色体プローべを用いて、骨髄細胞移植群で病理組織標本上において、移植した骨髄細胞が脳内での生着の有無について検討を行ったところ、移植後1〜2週間までは移植した部位周辺に骨髄細胞が観察されたが、時間が経過するにつれて排除されていた。しかし、中枢神経系において骨髄細胞が各種のサイトカイン等を分泌することにより、実験的自己免疫性脳脊髄炎の症状を改善させている可能性もあり、今後この点についての解明を進めていく必要がある。大腿骨から採取した骨髄細胞をin vitroで培養する実験については造血幹細胞の純化を行い、今後の実験に応用する予定である。
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