2007 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん発症に関連する変異型ナトリウムチャネルの機能喪失機序の解明
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18591154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大守 伊織 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20403488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157234)
大内田 守 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
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Keywords | てんかん / 電位依存性ナトリウムチャネル / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニーてんかん患者に電位依存性ナトリウムチャネルNavl.1をコードするSCN1A遺伝子異常が約80%の高率で検出される。変異型チャネルの機能解析を行うと、そのほとんどが機能喪失型であった。変異型ナトリウムチャネルNavl.1が機能を喪失する機序として、細胞内での蛋白合成障害、蛋白の細胞膜へ移行障害、チャネル蛋白のナトリウムイオン透過性障害、チャネル結合蛋白が変異型チャネル蛋白に結合できないための機能障害などが考えられる。個々の患者において、どのような機序で変異型ナトリウムチャネルNavl.1が機能を喪失しているか検索した。 てんかん患者で発見されたSCN1A遺伝子異常をもとに、6種類の変異SCN1A遺伝子のcDNAを構築。これら各々の変異型SCN1A遺伝子のcDNAに抗原認識できるためのエピトープ(FLAG)を組み入れた。ついで、ヒト腎細胞HEK293細胞に、各プラスミドをトランスフェクション試薬を用いて、強制発現させた。しかし、SCN1A遺伝子のHEK293細胞内での発現量が非常に低いため、免疫細胞染色では、特異度の高い画像がえられなかった。そこで、SCN1A遺伝子と相同性が非常に高いSCN5A遺伝子を用い、相応する変異を作成した。緑蛍光蛋白EGFP付加SCN5Aでは、細胞膜局在タイプ、細胞質局在タイプの識別が可能になった。 SCN1A遺伝子解析を臨床応用させるために、1歳未満の病初期に乳児重症ミオクロニーてんかん患者を検出するスクリーニングテストを開発した。これは、1歳未満の時点での臨床症状と遺伝子解析結果をスコア化することによって、合計点で判定する方法である。このテストにより、低コストで本疾患の疑いがある患者を選別することが可能になった。 さらに、SCN1A遺伝子変異は乳児重症ミオクロニーてんかん以外にも、慢性脳炎患者にも発見されることを見出した。慢性脳炎の原因は、ウイルス感染や予防接種などが従来考えられてきたが、素因としてのけいれん感受性と環境要因の相互作用によっておきている可能性があり、新たな脳炎の発症機序として報告した。
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