2008 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん発症に関連する変異型ナトリウムチャネルの機能喪失機序の解明
Project/Area Number |
18591154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大守 伊織 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20403488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157234)
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Keywords | てんかん / 電位依存性ナトリウムチャネル / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
乳児車症ミオクロニーてんかん患者に電位依存性ナトリウムチャネルNav1.1をコードするSCN1A遺伝子異常が約80%の高率で検出される。変異型チャネルの機能解析を行うと、そのほとんどが機能喪失型であった。変異型ナトリウムチャネルNav1.1が機能を喪失する機序として、細胞内での蛋白合成障害、蛋白の細胞膜へ移行障害、チャネル蛋白のナトリウムイオン透過性障害、チャネル結合蛋白が変異型チャネル蛋白に結合できないための機能障害などが考えられる。個々の患者において、どのような機序で変異型ナトリウムチャネルNav1.1が機能を喪失しているか検索した。 てんかん患者で発見されたSCNIA遺伝子異常をもとに、SCNIA遺伝子と相同性が非常に高いSCN5A遺伝子を用い、緑蛍光蛋白EGFP付加SCN5Aでは、細胞膜局在タイプ、細胞質局在タイプの識別が可能になった。 パッチクランプ法でチャネル機能の喪失を確認したSCN1A-R568X, SCN1A-K1027X, SCN1A-R931C変異に対して、相同性の高いSCN5A遺伝子に相応する変異を作成した。cDNAにEGFPを付加し、HEK細胞に強制発現させた後、共焦点顕微鏡で変異蛋白の細胞内局在を検索した。EGFP付加SCN1A-R568Xと-K1027Xは、細胞質内に蛋白の局在が認められ、EGFP付加SCN1A-R931Cでは、変異蛋白の膜への移行が観察された。SCN1A-R568XとSCN1A-K1027Xは、細胞内での蛋白合成障害、蛋白の細胞膜へ移行障害が起きていると考えられ、R931C変異は膜にまで移行しているもののチャネル蛋白のナトリウムイオン透過性障害が存在していると考えられた。 SCN1A遺伝子変異が、特殊な脳炎患者にも認められることやSCNlA遺伝子変異をもつ患者を早期に発見するスクリーニングテストの開発もおこなった。また、SCN1A遺伝子変異の修飾因子の報告も行った。これらの知見は、早期診断、的確な早期治療に資するもであると考える。
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