2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱性けいれん病態関連分子の網羅的解析と関連解析による疾患感受性遺伝子の同定
Project/Area Number |
18591157
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉良 龍太郎 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (70304805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 助教 (10398076)
有波 忠雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10212648)
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Keywords | 熱性けいれん / 遺伝子 / 遺伝子多型 / 脳炎 / UNC93B1 / Toll-like receptor / innate immunity |
Research Abstract |
【はじめに】熱性けいれんの発症には、遺伝的因子、感染症などの環境因子など多様な因子が関与している。我々はこれまでにInterleukin(IL)1B遺伝子-511C/T多型(Kira、2005)やIL-10遺伝子-592A/C多型が単純型熱性けいれん孤発例の感受性に関与することを明らかにしてきた。熱性けいれんの主要な原因の一つであるウイルス感染では、自然免疫応答が重要である。本研究では、ウイルス核酸の受容体であるToll-like receptor(TLR)3、TLR7、TLR9とこれらの機能を制御しているUNC93B1について、熱性けいれん発症との関連を明らかにするため、一塩基多型(SNP)を用いて患者対照研究を行った。 【対象と方法】熱性けいれん患者248名(単純型185名、複雑型63名)と健常対照225名を対象に、TLR3、TLR7、TLR9、UNC93B1遺伝子についてHapMapを参考にSNPを選出し(それぞれrs3775291、rs179010、rs187084、rs308328)、TaqMan SNP Genotyping Assayを用いて遺伝子型を決定、カイ二乗検定で関連解析を行った。なお本研究にあたり九州大学(No.87)遺伝子解析倫理委員会の承認を得た。 【結果】UNC93B1のintron7にあるrs308328において、熱性けいれん患者のGアレルの頻度(36.8%)が対照(29.7%)と比べ有意に高かった(p=0.02)。サブグループの解析では、複雑型(41.4%)と対照との間にGアレル頻度の有意な違いがあり(corrected p=0.039)、単純型では違いはなかった。TLR3、TLR7、TLR9遺伝子多型については、熱性けいれん患者対照間に有意な違いを認めなかった。 【考察】UNC93B1遺伝子が熱性けいれん特に複雑型に関連することが示唆された。UNC93B1は家族性単純ヘルペス脳炎の原因遺伝子であることが最近報告されている(Science、2006)。ウイルスの直接侵襲による炎症性病変が、熱性けいれん特に複雑型の病態に関与している可能性がある。
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Research Products
(4 results)