2006 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ脳症の病態モデルの作成と、その増悪および改善因子の検討
Project/Area Number |
18591161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00305369)
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50322342)
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Keywords | インフルエンザ脳症 / アポトーシス / 血管内皮細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス(FluV)感染に伴う急性脳症は、血管原性浮腫を主病態とする脳および全身臓器障害を呈する疾患である。この病態は、血管内皮細胞の炎症とアポローシスにより全身の血管障害をきたして引き起こされたものと考えられている。本研究では、ヒトFluVがヒト血管内皮細胞に感染しアポトーシスを誘導する可能性を検証するため、組織培養系においてヒト血管内皮細胞に対するヒトFluVの感染実験を試みた。 ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)でのFluVの増殖能を調べるため、HUVECに精製したFluV[Philippine株(H3N2)]を1時間吸着後、48時間培養し、培養上清中の感受性ウイルス量を測定したところ、増殖が確認された。同時に培養細胞からRNAを精製し、定量PCR法で感染HUVEC中のFluVゲノム数を求めたところ、ウイルス吸着後24時間を最大にFluVゲノム数の増加が認められた。一方、Philippine株感染HUVECではTUNEL法による陽性細胞が多数観察された。さらに蛍光免疫染色によりFluV感染細胞において核の分葉化が観察され、同時にアポトーシスの指標である活性型カスパーゼ3が検出された。フローサイトメトリーにて活性型カスパーゼ3陽性細胞数を比較したところ、FluV感染にて陽性細胞数の増加が確認された。 以上より、ヒトFluVは、ヒト血管内皮細胞において感染・増殖し、アポトーシスを誘導することが証明された。すなわち、組織培養系においてインフルエンザ脳症の病態モデルが作成された。
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