2006 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病血管障害における血管内皮前駆細胞の動態とその生物学的意義に関する実験的研究
Project/Area Number |
18591162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60189602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 誠一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (40405246)
山元 康敏 京都府立医科大学, 附属病院, 専攻医 (50405247)
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Keywords | 川崎病 / 血管障害 / 血管内皮前駆細胞 / モデル動物 / 再生医療 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
川崎病では、遠隔期においても血管内皮障害が残存し早発動脈硬化の危険因子となりうるため、急性期から遠隔期にかけ、血管内皮障害の抑制や改善を考慮に入れた治療戦略が極めて重要である。血管障害とその修復過程における血管内皮前駆細胞(EPC)の動態と生物学的意義を検討することを目的に、川崎病類似血管炎モデル動物を用いて以下の検討を行った。【対象と方法】血管炎モデルは、離乳期日本白色系家兎(週齢5週、体重700〜800g)に対して、馬血清を2週間隔で2回、耳静脈内に投与することで作成。本モデルでは、冠動脈において中膜の浮腫状変化と肥厚を伴う川崎病様の激しい汎動脈炎が出現するが、(1)急性期から回復期に見られる血管内皮障害に関してHE染色、EVG染色、CD31免疫染色により、病理学的評価を行った。ついで、(2)血中のEPC数の測定がより少量の検体で、かつ短時間で測定できるよう、FACSを用いた迅速測定法の確立を行った。検体としては川崎病例の末梢血を用い、FACSでは表面マーカーとしてCD34とAC133を用いた。【結果】(1)モデル動物の冠動脈では、2回目の馬血清投与1日目からすでに全層にわたる激しい汎血管炎がみられた。この変化は3〜5日後がピークであったが、内皮細胞の剥離を伴う内膜の炎症性・増殖性変化は14日目以後も残存した。内皮細胞障害は平滑筋の遊走や間質の増生を伴い、動脈硬化性変化が早期から見られた。(2)FACSを用いた方法で測定したEPC数は、急性期に明らかに増加(他の有熱性疾患の約2.6倍)した。また、冠動脈病変を有する例ではより高値をとる(病変を有しない例の約1.65倍)とともに、その高値が持続した。この結果は、従来行なってきた細胞培養を用いた方法による測定結果と同様な推移をとっており、FACSを用いた方法は測定検体量の面で制限がある小動物を対象とした本研究においても信頼のおけるEPC数の継続的測定が可能であると考えられた。
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