2006 Fiscal Year Annual Research Report
テトラヒドロビオプテリン合成に関与するカルボニル還元酵素の脳内発現部位解析
Project/Area Number |
18591170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯野 煕彦 日本大学, 文理学部, 教授 (50059937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新宅 治夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00206319)
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Keywords | BH4欠損症 / SPR欠損症 / AKRファミリー / テトラヒドロビオプテリン / セピアプテリン / カルボニル還元酵素 |
Research Abstract |
平成18年度基盤研究C"テトラヒドロビオプテリン合成に関与するカルボニル還元酵素の脳内発現部位解析"の研究課題に対し以下の結果を得たので報告する. 免疫組織科学的解析を行うために、テトラヒドロビオプテリン(BH4)生合成系関連酵素である、AKR1B1および1C3酵素の抗体を作成した、方法は、両酵素の遺伝子を大腸菌に組み込み、大量発現をした後抽出し、精製することで多量の酵素を調製し、調製酵素をウサギ体内に注射し、定法による抗体作成を行った。 その結果両酵素に対する非常に抗体価の高い精製抗体が得られた、得られた抗体を用いて、発現部位解析を計画したが、ヒトの脳や肝臓は非常に貴重な標品であるため、軽々に用いることが出来ないので、最適実験条件の確率のため、本年はマウスの臓器を用いて検討した。 マウスの肝臓、腎臓、肺、脾臓、心臓、脳をタンパク分解酵素阻害剤を含む抽出液で抽出し、硫安分画したサンプルをSDS-PAGE後、膜に転写し、ECL法でAKR1B1,1C3の発現解析を行った,その結果、肝臓ではAKR1C3は強く発現しているがAKR1B1の発現はほとんど見られず、脳内では逆にAKR1B1は強く発現しているがAKR1C3の発現はほとんど見られないことが明らかになった。これらの結果は、マウスの場合肝臓、脳ともに、BH4合成に必要な2種の還元酵素のうちそれぞれ1種しか発現していない、すなわちマウスの場合、両酵素によるBH4合成は行われていないことが明らかになった,ヒトのSPR欠損症は血中フェニルアラニン値は正常であるが、SPRノックアウトマウスは、高フェニルアラニン血症を示すという最近の報告があるが、本実験結果よりSPRノックアウトマウスが高フェニルアラニン血症を示す理由が明らかとなった。さらにヒトの場合AKR1B1,1C3の発現が、肝臓で起こっていることを強く示唆する結果が得られた。
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