2006 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロムP450オキシドレダクターゼ異常症における女児外陰部異常発症機序の解明
Project/Area Number |
18591178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
深見 真紀 国立成育医療センター(研究所), 周産期病態研究部, 室長 (40265872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 奉延 慶応義塾大学, 医学部・小児科, 助教授 (20189533)
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Keywords | チトクロムP450オキシドレダクターゼ / ステロイド産生障害 / 性分化異常 / 内分泌学 / 尿ステロイド代謝産物解析 |
Research Abstract |
平成18年度の成果は以下の通りである。 1.POR異常症の表現型を決定する因子の解明 40例以上のPOR異常症が疑われる患者を集積し、29例において13種類のPOR遺伝子変異を同定した。13の変異のうち、3つは残存活性陽性変異であり、そのほかは残存活性陰性と推測される変異であった。遺伝子型一表現型解析により、POR残存活性は骨形成異常において明瞭に、副腎不全と男性外性器異常においてある程度重症度と相関するが、女性外性器異常の重症度には反映されないことを見出した。この成績は、本症女児における外性器異常症の発症に従来想定されていた胎盤アロマターゼ活性低下以外の要因が存在することを示すものである。 2.POR異常症における尿ステロイド代謝物解析 遺伝子診断された29例および正常対象の尿ステロイド代謝産物を解析し、本症患者における通常のアンドロゲン産生経路(frontdoor pathway)由来のアンドロゲン産生量は、正常からやや低値であることを明らかとした。さらに、尿中5α-17-hydroxy pregnanoloneは解析全年齢を通じて高値、androsteroneは生後数ヶ月まで高値、その後正常範囲内となること、さらに、生後数ヶ月まではandrosteroneとetiocholanolone値に乖離か認められることを見出した。これらの成績は、POR異常症において生後数ヶ月間のみ17-OHPから5α-17-hydroxy pregnanolone、androsteroneを経て、testosteroneを介さずにdihydrotestosteroneを産生する新たなアンドロゲン産生経路(backdoor pathway)が機能していることを示唆する。このbackdoor pathway由来男性ホルモン産生過剰が、本症における女性外性器異常の成因であると推測される。
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