2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ症候群発症関連分子の同定と病態生理の解明
Project/Area Number |
18591183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 孝司 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (50255402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 隆 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70151256)
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Keywords | Nephrin / Neph1 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / 質量分析 / リン酸化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
腎糸球体における蛋白濾過障壁が上皮細胞およびそれを連結するスリット膜であることが近年明らかになった。 本研究は小児ネフローゼ症候群がスリット膜あるいは上皮細胞を構成分子の何らかの異常により発症することを想定している。本年度はスリット膜構成分子のうち、nephrinおよびneph1が限外濾過の構造分子として存在するのみならず、スリット膜と上皮細胞がこれらの分子のシグナル伝達を介してダイナミックに機能連関されていることを検証した。 Nephrin分子およびneph1分子をATP存在下でFynとともに共発現させると、2つの分子とも複数のチロシン残基がリン酸化されていることを確認した。さらにそれぞれの細胞内チロシン残基のいずれがリン酸化を受けているのかを質量分析を用いて検討し、それぞれの分子においてリン酸化を受ける位置を同定した。 さらに、nephrin、neph1のリン酸チロシン残基に、Grb2をはじめとする複数の分子がリン酸化特異的に結合することを証明した。これらの結果はnephrin、neph1がシグナル伝達分子としてスリット膜で機能していることを強く示唆する。 さらにこれらの結果がin vovoでも生じているかを確認するためにプロタミン硫酸を用いた糸球体障害モデルを作成し、nephrin、neph1がリン酸化を受けるかを検証した。その結果、プロタミン硫酸により環流された糸球体ではnephrinのリン酸化が生じていることが証明された。 19年度はこれらの結果を踏まえ、ヒトでのネフローゼ発症機構の詳細に迫る予定である。
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