2007 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ症候群発症関連分子の同定と病態生理の解明
Project/Area Number |
18591183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 孝司 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 准教授 (50255402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 隆 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70151256)
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Keywords | Neph1 / Nephrin / リン酸化 / PAN腎症 / TRPC6 / PLCγ / Caチャネル活性 / 蛋白尿 |
Research Abstract |
昨年度の本研究により、糸球体において蛋白濾過障壁となっている糸球体上皮細胞スリット膜構成分子であるNeph1のリン酸化とリン酸化部位の決定、およびプロタミン硫酸モデルでのNeph1およびNephrinのリン酸化について同定した。 本年度はさらにより一般的に用いられるネフローゼ発症モデルラットであるPAN腎症モデルにぽいてNeph1のリン酸化を解析した。PAN腎症モデルでも蛋白尿発症時期に一致してY637のチロシン残基がリン酸化されていることが明らかとなった。 本年度はさらに、Neph1、nephrinのリン酸化の後の糸球体上皮細胞内でのシグナル伝達についてさらに詳細に解析した。得られた結果のうちで特筆すべきは 1) Neph1-PLCγ-TRPC6がNeph1リン酸化特異的に複合体を作ること 2) Nephrinリン酸化によりTRPC6の活性に変化が生じること の2点である。第1の成果で得られた複合蛋白のうち、TRPC6はヒト遺伝性ネフローゼでの変異が確認され、ネフローゼ発症のkeyとなる分子であるが、その分子がNeph1のリン酸化により複合体を形成することは、neph1リン酸化と蛋白尿発症に相関があることを示唆する。 第2の成果は、もう一つのスリット膜分子であるnephrinのリン酸化が直接にTRPC(Caチャネル)の活性を変化させた。この結果もNephrinリン酸化がネフローゼ発症と直接関連をもつことを強く示唆する。 今後、このような変化がヒトネフローゼ組織でも同様の結果(nephrin、neph1の特定のチロシン残基のリン酸化)おこるか検証し、さらにnephrin, neph1をリン酸化させる因子の同定を試みる。
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