2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける先天性免疫不全症の診断システムの整備と疫学調査研究
Project/Area Number |
18591185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
金兼 弘和 富山大学, 附属病院, 講師 (00293324)
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Keywords | 東アジア / 先天性免疫不全症 / X連鎖無ガンマグロブリン血症 / フローサイトメトリー / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
わが国はもちろんのこと諸外国の研究者と共同研究にて多数の先天性免疫不全症の遺伝子解析を行っている。サウジアラビアの成長ホルモン分泌不全を伴った低ガンマグロブリン血症の患者においてSne遺伝子変異を同定し、X連鎖リンパ増殖症候群と診断した(Eur J pediatr 165:165,2006)。イランにおける37例のX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)の臨床的、免疫学的、分子生物学的特徴を明らかにした(Iran Arch Allergy Immunol 141:401,2006)。中国の復旦大学小児科との共同研究では、短期留学していた研究者に遺伝子診断の技術を教え、中国におけるXLA症例の集積と遺伝子診断を行っている。韓国の忠南大学微生物学教室との共同研究では、当教室でXLAと診断した症例の分子生物学的検討を行った。通常遺伝子変異はエキソン内の翻訳部位あるいはエキソン近傍のイントロン内に存在するが、自験例はBTK遺伝子の非翻訳部位であるイントロン1に変異を認めた。保因者である母親は同部位がヘテロ接合体であった。イントロン1を含むコンストラクトに同定された変異をいれ、レポーターアッセイを行ったところ、患者由来のコンストラクトでは正常に比べて転写活性の低下が認められた。イントロン1はBTK遺伝子の発現に重要な転写因子の結合部位であると考えられた。今後はこの部位に結合する転写因子の同定も行う予定である。XLAと臨床的に区別しがたい病型をとる常染色体劣性無ガンマグロブリン血症においてはμ重鎖を始めとするプレB細胞コンプレックスの構成分子の遺伝子変異によって起こることが知られており、遺伝子解析の重要性が増している。そこでかずさDNA研究所ならびに理化学研究所と共同で網羅的に先天性免疫不全症の遺伝子診断を行うシステムを開発し、また臨床情報と遺伝情報をリンクしたデータベースも開発中である。わが国の先天性免疫不全症のデータベースを作るのみならず、本データベースを利用して諸外国とのさらなる共同研究を進めたいと考えている。
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Research Products
(6 results)