2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
要藤 裕孝 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10404659)
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Keywords | 微生物 / ウイルス / 遺伝子 / ゲノム / 感染症 / 1本鎖DNAウイルス / パルボウイルス / 伝染性紅班 |
Research Abstract |
ヒトパルポウイルスB19は5596塩基よりなる1本鎖DNAウイルスであり、小児の伝染性紅斑の原因として知られている。B19ウイルスは骨髄の赤血球系前駆細胞のみが感染許容細胞であるとされ、先天性溶血性貧血患者に感染すると一過性の無形成発作を引き起こし重度の貧血に至らしめる。その他、母体への感染による胎児水腫がよく知られている以外に、脳症を含む神経系疾患、肝臓疾患など多彩な病態との関連性が報告されている。これまで、免疫低下を伴う患者では持続感染が生じることが報告されてきたが、免疫能の正常な者では感染後ウイルスは数ヶ月以内という早期に排除され、潜伏あるいは持続感染は成立しないと考えられてきた。近年、B19ウイルスに感染後数年以上経過した者の関節滑膜や睾丸などよりB19 DNAがpolymerase chain reaction法により検出されたという報告がみられるようになった。潜伏あるいは持続感染が成立する条件(例えばB19の特定の変異株なら持続感染が可能となるのか等)を検討すること、また特定の変異と感染後の特異な病態(急性肝炎等)が関連しているのかを明らかにし、特定の変異株が通常株と比較してゲノム複製やmRNAの転写などがどのように異なるかを分析することを目的とする。1995年から2005年までの札幌医科大学小児科における保存血清に関してスクリーニングを行う。この期間に、血液悪性腫瘍患者の検体は約3500、一般血清は約6500保存してある。血清は1サンプル1μlずつ10検体分を混合し10μlとする。PCRは8X12の96穴のプレートを用いる。サンプルを入れた後、70℃1分加熱することにより、直接テンプレートとして使用できるため、さらに必要なバッファーを加えPCRを行う。この系では1検体にB19 DNAが2X10^3/ml以上存在すれば検出可能である。陽性を認めたサンプルはさらに10検体それぞれについて同様にPCRを行い陽性検体を同定する。B19ゲノムをPCRで増幅、塩基配列を確認し変異を詳細に検討していく。この段階で、疾患あるいは感染期間の長短により特徴的な変異がないかを確認する。今回、予定していたスクリーニング検査により、30サンプルの陽性検体が得られた。そのうち、1例は横断性脊髄炎の症例であった。現在(平成19年4月)、得られたB19 DNAの遺伝子配列を分析中である。
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