2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児期の成長板における軟骨細胞の分化に及ぼす炎症性サイトカインの影響
Project/Area Number |
18591197
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
森 雅亮 Yokohama City University, 附属市民総合医療センター, 准教授 (30254204)
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Keywords | 成長板 / 軟骨細胞 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度であるため、これまでの総括を図った。 (1)定量的RT-PCRを用いた軟骨分化マーカー遺伝子の発現量の測定:IL-6がATDC5細胞の分化におよぼす影響について、これらの軟骨分化マーカー遺伝子の発現量をqRT-PCRを用いて検討した。ATDC5細胞では、軟骨内骨化における前軟骨細胞から増殖軟骨細胞へ、そして肥大化軟骨細胞へと分化する過程を再現できていることが確認された。 (2)IL-6存在下における軟骨分化マーカー遺伝子の発現についての検討:次にIL-6存在下におけるこれら軟骨分化マーカー遺伝子の発現について検討した。その結果、L-6がつねに流血中に検出される病態では、その軟骨内骨化が抑制され、IL-6が直接に骨化不全、骨粗鬆症が進行するのを司っている可能性が窺われた。 (3)マウス抗IL-6受容体抗体(MR16-1)を用いたblocking test: IL-6の直接作用であることを確かめるために、blocking testを行った。MR16-1は濃度依存性にIL-6の作用を中和し、これに伴い各々の遺伝子の発現は回復した。 本研究の結果から、IL-6が成長軟骨板における前軟骨細胞から、静止軟骨細胞、増殖軟骨細胞への初期の分化を直接的に抑制することが推察され、このことは抗IL-6レセプター抗体(トシリズマブ)による炎症抑制により、成長が回復し骨粗鬆症が改善した臨床試験の結果とも符合する所見であった。またマウス抗IL-6受容体抗体(MR16-1)を使用したblocking testの結果から、抗IL-6受容体抗体療法が、成長軟骨板における軟骨内骨化の回復に寄与していることが裏付けられた。
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Research Products
(1 results)