2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗第VIII因子インヒビター存在下における第VIII因子活性発現に関する研究
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18591198
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 一郎 Nara Medical University, 医学部, 講師 (00201616)
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Keywords | 血液凝固 / 第VIII因子 / インヒビター |
Research Abstract |
目的:前年度はインヒビター存在下での第VIII因子活性(FVIII:C)の発現状況を解析する目的で、凝固波形解析装置(MDAII)を用いた微量のFVIII:C測定を行った。今年度はインヒビター存在下での正常血漿のトロンビン生成能を自動型のトロンビン生成測定システムを用いて解析した。方法:認識部位の明らかな各種抗第VIII因子同種抗体(AlloAb)7種とモノクローナル抗体(MoAb)4種を用いた。IgGに精製したAlloAbおよびMoAbを第VIII因子欠乏血漿で希釈し、10および20Bethesda単位(BU)/mlのインヒビターを有する第VIII因子欠乏血漿を作製した。それらを正常血漿と等量混合し、30、60、90、120分後の検体についてトロンビン生成能を検討した。パラメーターとしてPeak Height(nM)とEndogenousThrombin potential ETP(nM×min)を計測した。成績:20BU/mlの高力価でもほとんどのインヒビター存在下で微量のトロンビン生成が確認された。特に重鎖A2ドメインを認識するAlloAb存在下では、軽鎖C2ドメインを認識する抗体の場合よりトロンビン生成が上回る傾向を示した。また、同じC2認識抗体でも、von Willebrand因子およびリン脂質との結合をともに阻害しない抗体存在下では、それらを阻害する抗体の場合よりトロンビン生成が上回っていた。考案および結語:インヒビターの認識部位や阻害様式によってトロンビン生成に差がみられたが、いずれの抗体存在下でも、微量のFVIII:Cとともに一定のトロンビン生成がみられた。これらの知見は、インヒビター存在下の第VIII因子定期投与で経験する予防的止血効果を裏付けるものと思われた。
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