2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド・ブラックファン貧血の分子機序の解明と遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
18591204
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三宅 弘一 日本医科大学, 医学部, 講師 (90267211)
|
Keywords | 遺伝子 / マイクロアレー / 貧血 / RPS19 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Diamond-Blackfan anemia(以下DBA)の病因に関してはいまだ完全には解明されておらず、近年DBA患者の25%においてリボゾーム蛋白S19(以下RPS19)の遺伝子異常が報告されているがその分子機序に関しては不明な点が多い。本研究ではRPS19異常DBAのcell lineモデル(Mol Ther. 11:627-637,2005)を用いてRPS19に異常を持つDBAに関しそのメカニズムの解析を行った。 1.マイクロアレー解析 RPS19正常発現細胞と、siRNAにより抑制した細胞よりRNAを抽出し、マイクロアレーにより発現の比較検討を行ったところRPS19以外の他のリボゾーム蛋白質、セルサイクル関連遺伝子等に変化が見られた。今後これらの明らかに変化の見られた遺伝子つき、さらに詳細に検討を進めていく予定である。 2.シグナル伝達解析 赤芽球系への特異的な分化障害の原因として、現在までに各種サイトカインのレセプターの構造異常が調べられているがその異常は見つかっていない。各種サイトカインのシグナル伝達系については全く解析されていないためモデル細胞を用いサイトカインにて刺激前後におけるリン酸化等を解析した。具体的にはRPS19正常発現細胞と、抑制した細胞においてEpo, SCF等で刺激前後におけるRas/Map kinase、Phosphatidylinositol 3-kinase、Jak-STAT経路などの解析を行ったところ、RPS19の発現には関係なくこれらのシグナル伝達系においては異常は認めなかった。 3.トランスドミナント蛋白の解析 RPS19遺伝子の点突然変異の異常に関しては異常タンパク質のトランスドミナント効果も考えられる。これを検討すべくsiRNAには影響しないように塩基配列を変え正常なRPS19蛋白を発現するレンチウイルスベクターと、現在までに報告されているホットスポットの点突然変異をもつ異常RPS19蛋白を発現するレンチウイルスベクターを現在作成中である。今後、RPS19の完全に抑制した細胞にこれらのウイルスベクターにより遺伝子導入しDBAの形質(細胞増殖抑制、赤芽球系コロニーの減少、赤芽球系への分化の障害)が認められるか検討する。
|