2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド・ブラックファン貧血の分子機序の解明と遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
18591204
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三宅 弘一 Nippon Medical School, 医学部, 准教授 (90267211)
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Keywords | 先天性貧血 / アポトーシス / リボゾーム蛋白 / 細胞周期 / エリスリポエチン |
Research Abstract |
ダイヤモンド・ブラックファン貧血(DBA)は貧血を主症状とし、時に形態異常を伴う先天性の遺伝病であり、DBAの25%においてRibosomal Protein S19(RPS19)の異常が報告され、RPS19蛋白質の減少がDBA発症に関与しているといわれているが、RPS19蛋白質の機能に関しては全く未知である。RPS19蛋白の機能解析のためにRPS19に対するsiRNAを用いRPS19の発現を抑制することによりDBAモデルを作製し、そのモデルを用いて様々な分子機序の解析を行った。赤芽球系細胞株であるTF-1細胞にテトラサイクリン誘導システムを用い、テトラサイクリンにて誘導時のみにRPS19が減少する細胞株を樹立した。この細胞はテトラサイクリン誘導時にRPS19の低下が認められ、それに伴って分化、増殖阻害、コロニー形成能の低下が認められ、DBAサンプルと同様の病態が認められた。このDBAモデル細胞株を用いて、エリスロポエチンのシグナル伝達解析、細胞周期解析、アポトーシス解析などを行った。さらにはRPS19が赤芽球分化のどの段階で影響しているのかを、各分化段階での細胞を用いて検討した。RPS19正常時、低下時においてエリスロポエチンのレセプタ-の発現を検討したが変化はみられなかった。また、エリスロポエチンのシグナル伝達においても異常は認めなかった。細胞周期を調べたところRPS19低下時はG0/G1細胞の比率が増加しており、アポトーシスを起こしている比率の増加が認められた。実際にDBA患者の骨髄細胞と正常者の骨髄細胞においてアポトーシスの率を比較検討したところ、DBA患者の骨髄細胞では有為にアポトーシス細胞の増加を認めた。また、これらの変化は赤血球分化の初期においてみられ、分化した段階においては認められないことからRPS19は赤血球系の幼弱な段階で重要な役割を果たしているものと推測できた。また、これらの異常は正常なRPS19を発現させることにより改善を認め、遺伝子治療の有用性が考えられた。
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