2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内炎症がヒツジ胎仔の脳血流ならびに脳室周囲白質軟化発症に与える影響の解析
Project/Area Number |
18591213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 直 Tohoku University, 病院, 准教授 (50361100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 達也 東北大学, 病院, 助教 (70400380)
埴田 卓志 東北大学, 病院, 医員 (30400360)
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Keywords | 子宮内炎症 / 脳血流量 / brain sparing effect / 脳虚血 / 脳白質傷害 / periventricular leukomalacia / 胎児 / ヒツジ |
Research Abstract |
子宮内炎症(胎仔G-CSF静注+羊水腔endotoxin注入)がヒツジ胎仔の脳血流ならびに脳室周囲白質軟化(PVL)発症に与える影響を解析し,脳白質傷害の予防方法について検討した.この子宮内炎症は妊娠ヒツジに早産を誘発することなく壊死性の絨毛膜羊膜炎と臍帯炎を発現させ,低酸素症に対する代償性脳血流増加(brain sparing effect, BSE)によって胎仔脳血流量を持続的に増加させた(近赤外線分光法).この条件下で胎仔に低酸素を負荷するとBSEが破綻し,PVLもしくは皮質下白質に多発性小出血壊死巣が誘導された.本研究課題では上記実験に基づいて胎仔を4群に分け,「酸素投与群(n=3)」では母獣酸素投与でBSEを解除してから低酸素を負荷,「抗炎症剤投与群(n=2)」にはBSE発現後に胎仔にdexamethasoneを静注してから低酸素を負荷,「非炎症群(n=2)」は子宮内炎症の前処置をせず,先ず低酸素でBSEを誘導してから再度低酸素を負荷,「対照群(n=3)」には子宮内炎症も低酸素も負荷しなかった.酸素投与群では全例でBSEが解除されたが1例は脳病変なし,2例でPVLと多発小出血壊死巣が観察された.抗炎症剤投与群ではいずれもBSEに変化なく,1例は病変なし,もう-例では多発小出血壊死巣が観察された.非炎症群では1例で多発性のPVLと小出血壊死巣が,もう-例ではencephalomalaciaが観察された.対照群ではいずれも脳病変は認められなかった.以上の結果に基づいて,(1)子宮内炎症のみならず低酸素で誘導されたBSEが破綻しても胎仔に脳白質病変が誘導される,(2)BSEが破綻して誘導される脳白質病変は母体酸素投与や抗炎症剤投与では予防できない,(3)対照群と比較してこの実験系で誘導された脳白質病変の組織学的特徴を詳細に検討する必要がある,と結論した.
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Research Products
(3 results)