2006 Fiscal Year Annual Research Report
合成ペプチドを用いた合成サーファクタントの開発:生理活性の評価
Project/Area Number |
18591223
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
千田 勝一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30108930)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 敦 岩手医科大学, 医学部, 助手 (80364355)
戸津 五月 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10382623)
内田 俊彦 岩手医科大学, 医学部, 助手 (60438463)
|
Keywords | 人工肺サーファクタント / 合成肺サーファクタント / サーファクタント蛋白 / SP-Bアナログ / SP-Cアナログ / 呼吸窮迫症候群 |
Research Abstract |
呼吸窮迫症侯群(RDS)の治療薬としてわが国で用いられている人工肺サーファクタント(Surfacten)はウシ肺由来であり、これに含まれるサーファクタント蛋白(SP)-BまたはSP-Cが活性に不可欠な成分であることが分かっている。最近、SP-BとSP7Cのアナログが合成され、これらの合成ペプチドと脂質とを混合した合成肺サーファクタントの臨床応用が期待されている。本研究では、合成ペプチド・脂質混合物の生理活性をRDSモデルの未熟ウサギ胎仔で検討することを目的とした。 1.合成肺サーファクタントの作成と表面活性の測定 SP-BアナログとSP-Cアナログは三菱ウェルファーマから提供を受けた。脂質はdipalmitoyl phosphatidylcholine (DPPC),egg-phosphatidylglycerol (PG),palmiticacid (PA),palmitoyl oleoyl phosphatidylglycerol (POPG)を使用した。SP-B・脂質はDPPC : POPG : PA : SP-Bアナログ=75:25:15:3に,SP-C・脂質はDPPC : PG : PA : SP-Cアナログ=75:25110:3に混合して作製した。表面活性はwilhelmy型表面張力計を用いて表面吸着,表面拡散,最小・最大表面張力,表面圧縮時に表面張力が10mN/mに達する面積,表面圧縮率を計測した。この結果、SP-B・脂質の表面活性はSP-C・脂質とSurfactenに劣っていたが、SP-C・脂質はSurfactenと同等の表面活性を示し、良好な表面活性を有する肺サーファクタントの基準を満たした。 2.生理活性の評価 実験には妊娠劾間が既知のウサギを用い、妊娠27日±2時間に帝王切開で得た未熟胎仔をRDSモデルに、妊娠30日±2時間に帝王切開で得た成熟胎仔を成熟対照群にした。未熟胎仔は無作為に未熟対照群、SP-B・脂質群、SP-C・脂質群くSurfacten群に割り付け、各人工肺サーファクタントは50mg/kgと100mg/kgを気管内へ投与した。生理活性は肺胸郭圧量曲線と肺胸郭コンプライアンスを測定した。この結果、肺胸郭圧量曲線と肺胸郭コンプライアンスは、SP-C・脂質群とSurfacten群の50mg/kg投与で成熟対照群のレベルへ改善したが、SP-B・脂質群では100mg/kg投写でも改善に乏しかった。SP-C・脂質群はSurfacten群よりも低圧における肺気量が少なかった。 今後、生理活性の測定を継続し、肺組織像を評価することにしている。
|