2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス新生仔におけるDNAメチル化からみた成人病胎児期発症説の解明
Project/Area Number |
18591224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
室月 淳 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50239555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 慶彦 順天堂大学, 医学研究科, 助教授 (70250933)
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Keywords | エピジェネティクス / 生活習慣病 / 胎児プログラミング / OCT4 / SPHK1 |
Research Abstract |
妊娠中に低栄養の母体から出生した児は,成人後に生活習慣病発症のリスクが高いことが知られている.子宮内環境における胎児組織のDNAメチル化とそれによって生じる遺伝子発現の変化が将来の疾病罹患に関係するのではないかと考え,本研究は妊娠中の低栄養ストレスによるマウス新生仔組織のゲノムDNAメチル化の変化を検討した. マウスを全妊娠期間中,9% casein dietでタンパク質を制限した群(R)と18% casein dietでの飼育群(C)に分け,出産後にそれぞれの新生仔から肝臓を摘出した.肝細胞をアガロースビーズ内に封入した後,bisulfite法によりゲノムDNAのメチル化シトシンをチミンに変換した.OCT4およびsphingosine kinase-1a (SPHK)を標的遺伝子としてPCRで増幅し,この配列をR/C群間で比較検討した. 増幅された遺伝子のシトシンにおけるメチル化比率は,OCT4では88.61±3.13%(R群)対88.79±1.72%(C群),SPHKでは94.21±3.01%(R群)対93.59±2.66%(C群)となりいずれも有意差を認めなかった.塩基配列中のシトシンを抜き出してみると,ただし非メチル化はある決まった位置のシトシンにしか生じておらず,OCT4ではほとんど差がないのに対しSPHKでは非メチル化部位に異なる傾向が認められた. 発生初期を司るOCT4に対し,出生後も発現が続いているSPHKの非メチル化部位に認められる変化は,子宮内環境による児の成長後の罹患リスクにとの関係が示唆される.またタンパク質制限によりのnon-CpGのシトシンにメチル基が付加されているところがあり興味深い.
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