2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18591225
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
飛彈 麻里子 Keio University, 医学部, 共同研究員 (20276306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 緑 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20129315)
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Keywords | 子宮内発育不全 / 腎臓発生 / oligomeganephronia / レプチン / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
子宮内発育遅滞(IUGR)児ではネフロン数、腎容積が減少する。レプチンおよびその受容体は胎児、胎盤に発現し、胎児発育を調節する可能性が示唆されている。またIUGR胎児のレプチン血中濃度は低く、胎児プログラミングへの関与が考えられる。平成18年度、19年度に(1)レプチンがMAPキナーゼ(ERK、p38)の活性化を介して後腎間葉細胞の細胞肥大を誘導すること、(2)レプチンが培養後腎間葉細胞の細胞遊走を刺激すること、(3)レプチンが培養後腎間葉細胞の上皮化を促進することが明らかになった。平成21年度も引き続き後腎間葉細胞へのレプチンの作用を検討した。 胎生11.5日のH-2Kb-tsAトランスジェニックマウスの後腎間葉から樹立されたMS7(vimentin陽性、cytokeratin、DBA陰性)を用いた。 レプチン10ng/mLによるMS7の細胞遊走刺激は、MEK阻害薬PD980595μMまたはp38阻害薬SB2035805μMにより抑制された。平成19年度までに、MS7におけるレプチン受容体の有無が実は確認できていなかったため、ウエスタンブロットとimmunocytochemistryで、レプチン受容体が陽性であることを確認した。上皮化の指標として、Eカドヘリン以外に、カドヘリン6、カドヘリン11の発現も検討した。レプチン1、10、50、500ng/mLによりカドヘリン6の発現量には変化を認めなかったが、カドヘリン11は濃度依存性に発現量の増加を確認した。年度初めには器官培養を用いた、レプチンの腎組織全体への影響も検討する計画であったが、上記の工程に時間がかかり、行えなかった。 平成18年度から平成20年度に確認できた研究成果から、結論としてレプチンはERK、p38を介し後腎間葉細胞肥大と遊走を誘導することと、上皮化を促進することが明らかになり、レプチンが正常腎発生およびIUGRにおける腎容積減少に関与する可能性が示唆された。 尚、この結果は一部を米国腎臓学会2008年のAnnual Meetingで発表した。現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(13 results)