2007 Fiscal Year Annual Research Report
動脈管における膜電位依存性カリウムチャンネルの酸素感受性に関する基盤的研究
Project/Area Number |
18591226
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中西 敏雄 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 准教授 (90120013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽山 恵美子 東京女子医科大学, 国際統合医科学インスティテュート, 助教 (00349698)
松岡 瑠美子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50120051)
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Keywords | 血管平滑筋 / 動脈管 / 酸素 / カリウムチャンネル / イオンチャンネル |
Research Abstract |
活性酸素が細胞内シグナルとして働き、電位依存性Kチャネル(Kv)を制御しているという仮説を証明するために、膜タンパク質であるαサブユニット(Kv1.5)と細胞質可溶性タンパク質であるβサブユニット(Kvβ1.2)の相互作用および関連タンパク質群の検出・同定は重要である。このためKvを含む複合体を、非イオン性界面活性剤を用いて細胞膜から抽出、抗体を利用したアフィニティ精製、限外ろ過法により濃縮、Blue native電気泳動法を用いて巨大分子構造のままで泳動分離する方法を確立した。 新生仔動脈管や肺動脈に主に発現するKv1.5およびKvβ1.2の哺乳動物発現コンストラクト(C末にタグペプチド)を作製し、ヒト胎仔腎細胞(HEK293)に一過性に単独又は共発現させ、またKv1.5を恒常的に発現するHEK293を確立し、これらを試料として用いた。 Kv1.5複合体はおよそ630kDa、Kvβ1.2複合体はおよそ530kDa、Kv1.5/Kvβ1.2複合体はおよそ800kDaに分離された。Kv1.5およびKvβ1.2はいずれも4量体を形成するとされるが、アミノ酸配列から算出される4量体の分子量(Kv1.5:263kDa,Kvβ1.2:182kDa)より本複合体は大きいことから、翻訳後修飾並びに複合体に結合するタンパク質の存在が示唆された。これによりHEK293におけるKv1.5およびKvβ1.2の細胞内局在の一致を裏付けるタンパク質間相互作用を確認できた。 酸化還元状態が多量体の形成に及ぼす影響を調べたところ、Kv1.5多量体の形成には細胞内の酸化還元状態が寄与する可能性が示された。酵素的脱糖鎖を行ったところN-結合型グリカンの存在が示された。Kvβ1.2複合体にはグルタチオン化される成分の存在が示唆された。活性酸素などのシグナルにチャネル複合体が反応する生化学的証拠が集積しつつある。
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