2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病原因遺伝子プレセニリン1の頭蓋骨形成における役割
Project/Area Number |
18591227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
中島 光業 松山大学, 薬学部, 助教授 (70311404)
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Keywords | プレセニリン1 / アルツハイマー病 / 神経堤 / 頭蓋骨 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
神経堤細胞特異的プレセニリン1欠損マウス(Wnt1-cre-induced PS1-cKO mice)を作製したところ、胴体部の発育不全と頭蓋骨肥大(特に頭頂骨の肥大)が認められた。頭蓋顔面骨は、由来の異なる間充織細胞から膜性骨化の過程を経て形成される。一部の間充織細胞は中胚葉に由来し、それ以外の間充織細胞は神経堤に由来する。咽頭弓から分化する上顎・下顎骨や舌骨、歯などは神経堤細胞に由来する。頭蓋冠は主に前頭骨と頭頂骨で構成されるが、前者は神経堤細胞に由来し、後者は中胚葉に由来する。しかし、神経堤細胞に由来する髄膜が頭頂骨の直下に位置しており、中胚葉由来の頭頂骨の成長にも神経堤由来の髄膜細胞が影響を与えるとする報告があり、神経堤に由来する細胞が頭蓋冠全体の形成・成長に大きな影響を与えていると考えられる。申請者が作製した神経堤細胞特異的プレセニリン1欠損マウスでは胴体部の発育不全と頭蓋骨肥大が認められるが、頭蓋骨肥大に関しては、上記の理由により、プレセニリン1欠損神経堤由来細胞の機能不全が直接の原因である可能性が考えられた。そこでまず、出生する時期まで当該変異マウスの頭蓋骨形成が正常に進んでいるか否かについて、アルシアンブルー・アリザリンレッドによる生後1日マウスの骨・軟骨のホールマウント染色を行った。頸部から後頭部にかけての軟骨の一部に形成不全が認められたが、頭頂骨形成に関して異常は全く認められなかった。次に、CAG-CAT-Zレポーターマウスを交配し、神経堤由来細胞系列を追跡できる実験系を構築した。当該変異マウスの神経堤由来細胞の移動について検討したが、頭蓋冠への移動を含めて明らかな異常は認められなかった。以上の結果より、当該変異マウスの異常は頭蓋骨形成異常を主因とするものではないことが示唆された。今後は、当該変異マウスについて内分泌系異常の可能性を含めて検討範囲を広げる計画である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Presenilin-1 controls the growth and differentiation of endothelial progenitor cells through its b-catenin-binding region.2006
Author(s)
Nakajima, M., Ogawa, M., Shimoda, Y., Hiraoka, S., Iida, M., Koseki, H., Shirasawa, T., Furukawa K.
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Journal Title
Cell Biol.Int. 30
Pages: 239-243