2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケラチン1遺伝子に存在するカルシウム・スイッチ応答配列の角化細胞分化における役割
Project/Area Number |
18591232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大塚 藤男 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (10092157)
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Keywords | 角化細胞 / 分化 / ケラチン1 |
Research Abstract |
以前よりヒトK1遺伝子3‘下流7kbpの部位に約60bpの「カルシウム応答配列」が存在することがわかっていた。ケラチノサイト培養系において培地のカルシウム濃度を0.05mMから0.12mMに上げるカルシウム・スイッチにより、ケラチノサイトが分化し、K1遺伝子が発現してくるが、この配列を含まないK1遺伝子クローンは、本来発現しないはずの0.05mMの未分化ケラチノサイトでも発現してしまい、カルシウム・スイッチによる細胞分化に応答しなくなる。従って、この部位にK1遺伝子の分化ケラチノサイト特異的発現を制御する情報が存在すると考えられた。データベース検索の結果、この配列の中には転写因子であるCOUP-TFとAP-1の認識配列が認められたが、その機能的意義は明らかとなっていなかった。今回我々は、このCaREはお互いに隣接するAP-1とオーファン・ステロイド・レセプターであるCOUP-TFの認識配列から構成されていることを見出し、AP-1とCOUP-TFがカルシウム・スイッチにおいて果たす役割を解析した。AP-1を構成するc-Junとc-Fosをそれぞれ角化細胞に強発現させ、CaREの転写活性の変化をCATアッセイにより定量化したところ、c-FosはCaREに対して転写活性を増加させ、逆にc-Junは抑制的に働くことがわかった。角化細胞のカルシウムスイッチにともなうAP-1の発現変化を調べると、カルシウムスイッチ前の未分化角化細胞ではc-Jun/c-Junのホモダイマーの形で存在し、カルシウムスイッチ後の分化角化細胞では、c-Fos/c-Junのヘテロダイマーとして存在していた。このことは、角化細胞内でc-Fosがカルシウムスイッチの推進役として働いていることを強く示唆するものである。
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